はじめに

給料を知って聞けたホンネ

夫は数ヵ月、そうやって様子を見ていましたが、昨年末、カオルさんにプロポーズしました。これから再度、家族としてやっていくために、いろいろなことを話し合いました。すると、カオルさんの収入が、夫より少し上だったことがわかったのです。

「夫は、『きみに、誰のおかげで食べられるのよと言われてもしかたがないな』と。覚えていたんですね。あの一言をどれだけ後悔したか、転職して収入が減って初めて、自分が傲慢だったとわかったとしみじみつぶやき、本当にすまなかったと頭を下げました。これなら大丈夫。本気でそう思いました」

今年の初めから、また一家4人の生活に戻りました。3年ぶりのことです。そしてコロナ禍に陥りましたが、この期間がむしろ、家族の関係強化には役だったそうです。

「うちの場合はちょうどよかったんです。夫も私も在宅勤務が多くなり、子どもたちとの時間も増えて。子どもたちも、今はおとうさんに何を言っても聞いてもらえると確信を得たようです。ひとり暮らしの間に夫は料理上手にもなっていましたから、子どもたちは大喜びです」

今はカオルさんはほぼ毎日出社、夫は週3日勤務となっていますが、仕事が終わるとすぐに帰宅したくなるそうです。夫婦の「やりなおし」がうまくいくケースは少ないのですが、夫が心からそれまでのことを反省して変わってくれれば話は別。こんな温かい話もあるのです。

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