はじめに

最大のニーズ「本物を買いたい」

冒頭でも紹介したように、ある調査会社の調査によると、中国人が越境ECを使う最大の理由は安いからでも商品が売っていないからでもなく、「正規品であるから」。アンケートに6割の人がそう答えたというのです。

さて、ここからは注意が必要なところです。

日本にいると海外ECサイトの利用は“ウラ技”的な扱いです。価格が安いから、日本では手に入らない商品が見つかるから、といった理由で海外からの輸入が行われています。

まだまだ市場も小さいですし、なによりも一定レベルの言語能力がないと商品を買うことができません。アメリカのECサイトで注文する場合、国際送料がいくらなのか、そもそも海外へ送ってくれるのか、もし届かなかった場合にどう報告すればよいのか、などを考えると、ある程度の英語力が必須となるからです。

しかし、中国の越境ECの場合は中国語のサイトでなければいけません。「偽物を買いたくないから」というニーズで日本からの送料を負担してでも購入したいという人が多いわけで、当然のことながら日本語のサービスではダメです。丁寧に中国語で販売する必要があるのです。

では越境ECのビジネスチャンスを手にしたい日本企業はどうすればいいのでしょうか?

日本企業が始めるならアリババかコアラ

中国の越境ECは最大手の「アリババ集団」がシェアの4割を握ります。次ぐのが「京東集団」と「網易」でアリババの半分程度の規模になります。

その網易が運営する「コアラ(考拉海購)」という会社が最近、急速に成長しています。コアラが近い将来、二番手に躍り出るのではないかという観測もあります。

今、日本企業が越境ECで売上を伸ばすとすると、大きくふたつの戦略があると思います。

アリババに出店するか、コアラに商品を卸すかです。もちろん自前のECサイトを開くという手もありますが、ユニクロのように中国でも巨大な存在になっている小売店ならともかく、多くのメーカーの場合、モール出店をするか、大手小売店に卸したほうがいいですよね。

アリババは楽天と同じくモール型のビジネスです。中国最大のモールがアリババですので、ここに出店すれば検索で購入につながります。日本のメーカーであれば「直営店が日本国内で販売している商品を日本から発送すること」を売りに、中国内の販売網を補完するニーズをくみ取ることができるでしょう。

一方、コアラは日本でいうアマゾンのような存在です。自ら在庫を持ち、自前で販売しています。販売力が強いので、コアラに売ってもらえれば販売数量は大きく増えるでしょう。しかし、コアラの強みは「安売り」です。そのため数量は出ても利益を生むためには交渉が厳しくなるかもしれません。

いずれにしても5.5兆円の市場は巨大ですので、これを逃す手はありません。日本市場に匹敵するビジネスチャンスがそこにはあるのですから。

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