はじめに

有名カレー店と多数コラボ「エム・シーシー食品」

「ジャパニーズカレーとインド風が得意なメーカーさんです。日本式カレーの面影が残るスパイシーなインド風カレーはファンも多く、マイルドな欧風カレーも人気。有名カレー店とコラボした商品も多く手掛けています」(スパイシー丸山さん)

カレーのプロも着目している「エム・シーシー食品」は、調理缶詰・レトルトパウチ・冷凍食品を扱う神戸の調理食品専業メーカー。同社のレトルトカレー製造の特徴は「材料を一から調理している点」なのだとか。

「例えばレトルトカレーはルーを使うものが一般的ですが、弊社では粉と油からルーを焼き上げて製品に仕上げています。スパイスもカレー粉を使うのではなく、それぞれの商品に合うようにブレンドしたり、初めに油の中でスパイスを加熱して香りを上げるスタータースパイス方式を取っている商品もあります」(エム・シーシー食品 水垣乃衣子さん 以下同)

現在、レトルトカレーは「100シリーズ」「神戸テイストシリーズ」「名店シリーズ」「協創シリーズ」の4シリーズを展開しています。同社は業務用商品も手掛けており、その商品開発で培った再現力の高さが、家庭向け商品の市場を広げることにもつながったのだといいます。

レトルトカレーの商品開発の歩みについて、水垣さんはこう話します。

「1999年、250円のレトルトカレーが最も高価格であった市場に対し、ディナー向けの290円のレトルトカレーシリーズを発売しました。このとき『きのことビーフのカレー』が、日本缶詰協会主催第20回レトルト食品品評会で農林水産大臣賞を受賞。その後、このシリーズは現在の『神戸テイストシリーズ』に引き継がれます。

この高品質のレトルトカレーに手応えを感じ、2001年には神戸の旧オリエンタルホテル名誉総料理長・石阪勇氏監修の『100年前のビーフカレー』『100時間かけたカレー』を発売し、高価格帯のラインナップを広げていきました」

「100時間かけたビーフカレー」は同社のレトルトカレー開発の分岐点にもなった商品。一晩寝かせたカレーがおいしいことはよく知られていますが、「それなら生産効率を度外視した(時間をかけた)、一晩寝かせたおいしいカレーを作ろう」というのがこの商品のコンセプト。発売以来、同社のレトルトカレー商品の中でトップの売り上げを誇っています。「100シリーズ」は、ほかに「100時間かけたスパイシーチキンカレー」など全6種類を販売。

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前述した290円のレトルトカレーシリーズが前身の「神戸テイストシリーズ」は、2005年に発売されました。洋食の街・神戸で作られた王道のカレーでありながら、粗挽きのスパイスを使用し、油で炒めて香りを抽出するなど、現在のテイストも盛り込んでいます。

「これまで4回のリニューアルを行い、現在は創業の地である神戸で作ったオリジナルカレーシリーズとして原点に回帰した内容で販売しています」

そして遠方に出かけることが難しい今、手軽に家庭でカレー専門店の味を楽しめるのが「名店シリーズ」。もともとは、コンビニで有名店や老舗ラーメン店の味をうたうインスタントラーメンが受けていることに着目したことをきっかけに誕生したのだとか。

参加しているのは、インド・ニューデリーで設立されたレストランチェーン店「ゲイロード」や、東京・神田須田町に本店を構える「トプカ」、東京・神田小川町に第1号店がある「エチオピア」などで、それぞれの店が監修して味を再現しています。

最後に、変わり種として目を引く「協創シリーズ」は、現在2種類を販売しています。救助隊員の声を取り入れた「兵庫県警察 災害と闘う救助隊員のカレー」は、子供から大人まで幅広い年齢層を想定し、辛さは控えめ。

「温めても、そのままでもおいしいものを目指しました。肉類や小麦粉を使用しないことで常温でもかたまりにくく、化学調味料不使用なので喉がかわきにくいこともポイントです。ジャガイモやニンジンがゴロゴロと入っていて、ごはんがなくてもシチュー感覚で食べられます」

協創シリーズはほかに、阪神・淡路大震災を経験した神戸市消防局とコラボレーションしてできた「消防隊カレー」が販売されています。