はじめに

政府は7月17日に「経済財政運営と改革の基本方針2020~危機の克服、そして新しい未来へ~」(略称:骨太方針2020)を閣議決定しました。

この骨太方針とは、小泉純一郎首相が2001年に開始したのをきっかけに民主党政権下を除いて、毎年6~7月に閣議決定を経て発表されているものです。経済財政の基本方針を官僚主導ではなく、首相官邸が政治主導で予算を作ることを目的に始まりました。今後の政府予算の配分にも関わることから、株式市場にとっても重要な指針となっています。

ウィズコロナやニューノーマル、新たな日常へとパラダイムシフトというべき大きな変化にある中、政策から見た有望な投資テーマを探っていきます。


デジタルニューディールとは何か

今回の骨太方針2020は、日本経済が新型コロナによる甚大な影響を受ける中、感染症への対応やウィズコロナ下での経済戦略、そしてコロナにより浮き彫りとなった課題・リスク・取り組みの遅れへの対応が主なものとなります。

また、“「新たな日常」構築の原動力となるデジタル化への集中投資・実装とその環境整備~デジタルニューディール~”として、この1年を集中改革期間として取り組むことを掲げています。

「デジタル」や「オンライン」、「リモート(遠隔)」といったワードが頻出していることからわかるように、官民ともにDX(デジタルトランスフォーメーション)やICT(情報通信技術)への投資が増えると見られます。既に、補正予算において予算が付けられているものも多いことから、方針の再確認といった色合いも強いでしょう。

注意したい特徴としては、毎年触れられていた財政健全化についての方針が示されていない点が挙げられます。苦しい財政の中において最大限の対応をすることを示していると見られます。

デジタル・ガバメントの構築を最優先

政府は、行政サービスのデジタル化を担う「デジタル・ガバメント」の構築を、一丁目一番地の最優先政策課題と定めました。この背景には、特別定額給付金や雇用調整助成金のオンライン申請・給付において、多くのトラブルが生じたことにあります。

また、マイナンバー制度の改善や国・地方自治体などのデジタル基盤を再構築する見通しです。その他、原則として対面や押印の不要化や申請書類の可能なかぎりの縮減などを図ります。

さらに、GIGAスクール構想も引き続き加速させる見込みです。GIGA(Global and Innovation Gateway for All)スクール構想とは2019年12月に文部科学省が打ち出したプロジェクトで、「子供たち一人ひとりに個別最適化され、創造性をはぐくむ教育ICT環境を実現する」として全国の学校に高速大容量通信環境を整備し、児童生徒1人に1台端末を支給するとしています。

行政などの「公」でデジタル化が進めば、「民」でのデジタル化も加速することが期待できるでしょう。

<写真:ロイター/アフロ>