「雑草」といえば、抜いても抜いても生えてくるし、アスファルトのちょっとしたすき間からでも顔を出したりもする、強くたくましいイメージがあります。「雑草魂」という言葉にも、打たれ強さや、へこたれない心、といった意味が込められています。

しかし、植物学者の稲垣栄洋氏によれば、雑草は他の植物との競争にとても弱く、「まともに戦ったのでは勝ち目がないので、競争力を求められない場所を選んで」生えているのだとか。私たちが持つ常識的なイメージとは違った一面があるようです。

稲垣氏の著書『雑草という戦略』には、弱者としての合理的な方法によって、競争を避けて確実に子孫を残す、雑草の生き残り戦略が紹介されています。逆境も巧みに利用して繁栄する雑草たちの意外な生態には、私たちの人生やビジネスにも通じるヒントが隠れています。

雑草が得意としている特殊な環境は「予測不能な激しい変化が起こる場所」である。
もし、私たちが生きている現代が、予測不能な時代なのだとしたら……
雑草の戦略が役に立たないはずがない。
(『雑草という戦略 予測不能な時代をどう生き抜くか』「はじめに」より)

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