はじめに

強みを活かせる場所でなければ生き残れない

どこでも見かける雑草ですが、ところかまわず生えているわけではありません。オオバコが踏まれやすい道路に生えているように、草刈が行われる道端にはまた別の、草刈に強い雑草が生え、あまり人が立ち入らない空き地には競争力の強い大型の雑草が背を伸ばしています。それぞれが、自らの強みを活かして生育しているのです。

もっとも、植物は生えたい場所に移動できるわけではありませんから、結果的にそうなっている、と言えます。

もちろん、雑草は動くことができないから、自ら場所を選んでいるわけではない。実際には、たくさんの種があり、たくさんの芽生えがあり、その中から自らの強みを発揮できる場所に生えることのできた者だけが、雑草として成功していることになる。
つまり、自らの強みを活かした場所で生えているというのは結果論である。(72ページ)

稲垣氏はこのように解説していますが、続けてこうも指摘しています。

しかし、自らの強みを活かした場所でなければ生き残れないという真実は明確だ。(同)

雑草は自分の強みを最大限に発揮できる場所で生き残っている。もちろんそれは自然の現象であり、結果論かもしれませんが、人間の「生き方」やビジネスにおける「競争」を思い浮かべたとき、重要な示唆を与えてくれるものでもあります。

私たちは、戦略を選ぶことができる。戦う場所も選ぶことができる。そうであるとすれば、強みを活かした場所を選んで戦わなければならないのだろう。(同)

現代は予測不能で不確実な時代と言われます。私たちも逆境に立ち向かわなければなりません。そんな時代には、稲垣氏が指摘するように、雑草たちの戦略が役に立つはずです。

「雑草」という戦略 稲垣栄洋 著

「雑草」という戦略
ビジネスや人生の参考になる雑草の生き方、生存戦略について紹介する一冊。オオバコ、カタバミ、スズメノテッポウなど、さまざまな雑草の生き残り策を、ランチェスター戦略、ブルーオーシャン戦略、ドミナント戦略などのビジネス戦略と絡めて解説します。

(この記事は日本実業出版社からの転載です)

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