はじめに

彼が自己破産していたことを知った日

結婚して2年ほどたったころのこと。その日、ユウナさんは代休をとって家にいました。日頃できない窓ガラスや網戸の掃除などを手がけ、ついでだからと納戸の整理も始めた。

「引っ越してからのダンボールなどもまだ入れっぱなしで。少しずつ整理しようとダンボールを開けたら、弁護士事務所からの封筒の山が目に入ったんです。夫宛だったので、見たらまずいとは思ったんですが、一方で夫が何か弁護士を必要とするような問題を抱えているのかと不安にもなって」

そこで見たのが、夫が自己破産をしていたという事実でした。ユウナさんはあわてて多くの封筒を開け、自己破産をしたのは結婚してからだということもわかりました。

「そういえば、とふと思い出しました。つきあっているときは夫がカードを使っていたような気がしていたんですが、結婚後はまったく使わなくなった。なにげなくカードは使わないのと尋ねたら、『オレ、現金主義だから。ごくまれにしか使わない』って。そのときはふうんと思っただけでしたが、結局、あの当時、いろいろ手続きをしていたんでしょうね。私設私書箱の契約書も出てきたから、弁護士さんからの書類はししょばこに送ってもらっていたようです」

貯金額を明かさなかったこと、将来について話し合おうとしなかったことも納得できたそうです。ただ、ユウナさんは「2年も隠されていた」ことに愕然としました。確かに夫婦で経済はほぼ別にしているし、自己破産がいけないことでもありません。よほどの事情があったのでしょう。でも、どうして自己破産に至ったのか、相談くらいしてくれてもよかったのではないか。そんな思いを払拭することができませんでした。

「夫に言っていいのかどうか悩みました。でも、今、夫が経済的にどういう状況にあるのかは、これからの私たちの生活にも関係してくる。1ヶ月くらい悩んだんですが、夫も家にいた休みの日、『話したいことがある』と切り出しました」