はじめに
不動産投資を始める際には、知っておかなければならないことが多くあります。不動産会社での営業を経験し、自身も不動産投資で成功した黒崎裕之氏による著書『100万円からできる「地方・ボロボロ一戸建て」超高利回り不動産投資法』(日本実業出版社)より抜粋して紹介します。
不動産業者があっせんするグレーな融資戦略
収益専門の不動産会社が増えたことによって、グレーな融資戦略も珍しくなくなりました。金融機関に借入状況を隠す「1物件1法人スキーム」や、通帳のゼロを増やすような「エビデンス改ざん」などです。後者のなかには、投資家の定期預金にあたかもたくさんの資産があるように見せかける悪質な方法もあります。
同時決済で借金の履歴を見せないという手法もあります。1億円の物件を2つ決済して、片方は代理契約にしておくと、金融機関はお互いに見抜くことが難しくなります。買ったあとに、はじめて気付くわけです。
そこまでいかずとも、特定の金融機関しか融資が引けない物件もあるので、その銀行の評価に合わせて紹介する業者もいます。ただ、そういった物件を買ってしまうと、売るときに困ります。例えば、今問題になっている新築シェアハウスの場合は、家賃の未払いや空室も問題になっていますが、そもそもシェアハウスは「寄宿舎」であり、アパートのような「共同住宅」ではありません。もともと「寄宿舎」には融資が付きにくいため、いざ売却しようとしても買主が見つからないという話をよく聞きます。
しかも今の潮流としては、借りられる限度額まで、できるだけ長い期間で借りるというのがスタンダードです。そうしないと、キャッシュフローが出ないからです。
ところが、融資期間を伸ばせば伸ばすほど残債は減っていきません。仮に購入から5年が経って売りたくなったとしても、残債が減っておらず、借りた金額とほぼ同じ額が残っていて、物件を売却しても残債が残ってしまう……ということになりかねません。つまり5年後には家賃も下落していて、購入時と同じ利回りで売ることができず、自分がイメージしていたものとはまったく違う姿に変わっているのです。