はじめに

米国は大統領選一色

グローバルの政治イベントで、もう一つの関心事となるのが11月の米大統領選です。8月の民主党大会を経て、バイデン前副大統領が正式に大統領選の候補に指名されました。副大統領候補には女性で黒人のカマラ・ハリス上院議員が指名され、これからの約2ヵ月間は選挙モード一色となりそうです。

現時点の支持率を見る限りでは、バイデン候補が優勢であることは明らかです。民主党の予備選が事実上決着してから、バイデン候補の支持率は一貫してトランプ大統領を上回って推移し、足元では7ポイント程度のアドバンテージがあります。

ただ、それが決してセーフティ・リードでないことは、4年前の大統領選の教訓から誰しもが認識している点です。株式市場はバイデン勝利を織り込み始めていますが、テレビ討論会の結果次第では、トランプ大統領の挽回も十分に考えられ、最後までもつれる可能性があります。

バイデン候補勝利で市場はどうなるか

仮に、バイデン候補が勝利した場合、「果たして株式市場はその結果を好感するのか」、といったシミュレーションが市場関係者の間で日々行われていますが、少なくともネガティブな反応となる可能性は限定的と考えます。

主要な政策分野で両者が対立する部分は少なくありませんが、対中政策におけるバイデン候補のスタンスがより緩和的・融和的と見られることはポジティブです。また、株式市場が警戒するのは各種の増税ですが、経済の建て直しが進められるうちは、実現の可能性は低そうです。

4年前の大統領選では「トランプ氏勝利なら政治の混乱は免れない」との見方も多かったのですが、今回はそこまで不安は大きくありません。市場参加者に求められるのは、あくまでも大統領選の行方を冷静に見守ることと言えるでしょう。

大統領選とマーケットの興味深い関係

米大統領選を控える年の米国株式市場の特徴について調べると、興味深い傾向が明らかとなります。それは、9月の株価変動性(ボラティリティ)が低水準にとどまりやすいということです。ボラティリティとは株価のブレの度合いを表したものですが、選挙情勢を見極めようというムードが強まることで、株価の振れ幅は小さくなる傾向が読み取れます。

ボラティリティの低下は投資家にとっては一つの安心材料となり得るため、投資家のリスク許容度を高めることが期待されます。そういう意味では、9月は次なる上昇に向けてのエネルギーを溜める局面と位置付けられるかもしれません。

業績・株価の面でのポテンシャルの高さでは、相変わらずハイテク業種に優位性があると見られますが、低ボラティリティ下での物色の視点としては、業績見通しの改善が著しい、これまでの不調業種にも注目したいところです。全体の株価上昇ピッチが緩やかになる局面では、出遅れ業種の挽回にも、投資家の目が向けられる可能性があるためです。

<大和証券 チーフグローバルストラテジスト 壁谷洋和>

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