はじめに

「昭和の理想」は幻想?

もし大災害が起きて自宅が破損してしまった場合、持ち家がなく、賃貸であれば「じゃあ、しばらくはホテルで住むか」という選択ができるんですよね。不動産を所有するということは、その土地に縛られることを意味します。昨年10月の台風でブルーシートをかけざるを得ない人生を送ることとなった千葉県の方々は、今年7月の報道でもまだブルーシートがかかっていました。

台風発生当初は業者の手配もままならず、ブルーシートで生活をせざるを得なかったのでしょうが、あれから9ヶ月が経ってもまだブルーシートなのです。業者がまだ忙しくて対応できないのか、あるいは諦めてその家を出てしまったのかは分かりませんが、賃貸の身であれば、ブルーシートになった時点で「解約お願いします」で終了です。

「解約するのならば1ヶ月前までに言いなさい」なんて言われても「はい、1ヶ月分の家賃は払いますね。ただ、敷金はちゃんと返してくださいね。屋根がぶっ壊れたことは私のせいではなく、台風が悪いんです」と主張するだけでいい。

かつての日本は「三種の神器」などに加え「夢のマイホーム」「子供は私立のエスカレーター式に」といった「理想の家族像」がありました。

ただ、もうそんな価値観なんて不要なんじゃないですかね。財産を持つこと自体がリスクでしかなくなっているんじゃないかと思うんですよ。昨今の大雨でも自家用車が浸水し、使い物にならなくなっているじゃないですか。あれも貴重な財産。「ただ走ればいい」といった10万円ほどの軽自動車を中古で買い、車検が来たら廃車にする――そんなライフスタイルも合理的として評価される時代になっているかもしれません。

そういった意味では、よっぽど見栄を張りたい人以外は立派な持ち家を買う必要はないと思います。 「年寄りに貸すのは……」と躊躇する大家さんに対しては毎度半年分の家賃を一気に振り込めばそれでリスクの低い人生を送れるのでは、ととみに考えるようになりました。

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