はじめに
読者のみなさんからいただいた家計や保険、ローンなど、お金の悩みにプロのファイナンシャルプランナーが答えるFPの家計相談シリーズ。
今回の相談者は、26歳、パート・アルバイトの女性。彼と事実婚で同棲する予定ですが、扶養内で働く場合、いくらまでなら稼げるのかというご相談です。知っておきたい事実婚の落とし穴とは? FPの飯田道子氏がお答えします。
【相談者プロフィール】
女性、26歳、パート・アルバイト
未婚・既婚:未婚
配偶者の年齢:なし
子どもの人数:0
同居家族について:今後同居予定で、彼の年収は320万ほど
住居の形態:賃貸
飯田: 今、お付き合いされている彼と、事実婚という形で同棲を考えている相談者様。その際には扶養控除内でパートタイマーとして働くことを考えているようですが、配偶者控除が受けられないため、どれくらいまで稼ぐことが出来るのかが気になっていらっしゃるようです。
今回は、どれくらいまで稼げるかだけでなく、どのような点に注意するのか、考えておくべきなのかもお伝えしたいと思います。
知っておきたい、事実婚のメリットとデメリット
メリットとしては、お互いに姓を変えることをすることなく、生活することができるので、名義変更等の手続きをしなくて良いということです。万一、別々の道に進むことになってしまっても、戸籍上で離婚という記録が付かないなどがあります。
また、住民票の続柄に「妻/夫(未届け)」などの記載をして事実婚を証明すれば、相手の扶養に入ることもできるため、お相手の社会保険に、扶養として加入することができます。
一方のデメリットとしては、相談者様もおっしゃる通り、配偶者控除が受けられないということ。その他、相続時の法定相続人にもなれないことなどがあります。
扶養に入るためには、いくら稼いでも良い?
社会保険の扶養に入るためには、認定を受けなければなりません。
扶養される人、つまり被扶養者として認定されるには、「収入要件」を満たすことが必要ですです。内容は、年間収入130万円未満(60歳以上又は障害の場合は、年間収入180万円未満)かつ 同居の場合は、収入が扶養者(被保険者)の収入の半分未満であること。別居の場合は、収入が扶養者(被保険者)からの仕送り額未満であることとされています。
つまり、年間130万円未満、最大で129万9,999円まで稼ぐことが可能です。
また、会社によっては、配偶者扶養手当が貰えるケースがあります。手当として与える金額は会社で決めているため、法律で認められたギリギリの金額まで稼いでしまうと、手当を貰えない、あるいは減額されることもありますので、会社の約款を確認することをお勧めします。
扶養に入ることができれば、健康保険の扶養に入るだけでなく、第2号被保険者の配偶者として認められることで、第3号被保険者として国民年金に加入することができます。そのためにも、しっかりと手続きをしてください。
「同一世帯」条件を満たすためにするべきこと
相談者が事実婚の夫の扶養に入るためには、「同一世帯」の条件を満たしていることも必要です。相談者が条件を満たすためには、家計を共有していることに加え、「同居」していることを証明することが必要です。配偶者、直系尊属、子、孫以外の3親等内の親族が被扶養者として認定されるには、家計を共有していることに加え、「同居」が必要になります。
相談者様の場合、入籍をしていませんが、必ず住んでいる地域の役所に届けを出し、住民票の続柄に「妻/夫(未届け)」などの登録しておきましょう。また、お付き合いされている彼の会社にも手続きをすることを忘れないでください。