はじめに

一瞬米ドル売り、すかさず米ドル買い

為替市場はまちまちな反応で、予想より悪い米雇用者数増加なのか予想より強い失業率なのか、選ぶことはできなかったように思われます。米雇用統計のどの項目に反応するかは趣味の問題でしょうが、これまで筆者が見てきた限りでは、最初は雇用者数増減に反応し、次に失業率に反応する場合が多いように思われます。

ニュースソースのヘッドラインの出てくる順番がそうだからかもしれません。したがって、狭い範囲で売ったり買ったりを繰り返しているAIやジョバー(ジョビング・プレーヤー)がドル売り反応したと思ったらすぐにドルを買い戻しておしまい、といった動きでした。

既に、東京タイムでのトランプ大統領感染報道で、ドルも株式先物も散々売られ、米金利先物は散々買われたので、週末に向けての調整という理由で、一方的に動かなかったのかもしれません。

10月に入り、やっと市場は米大統領選に注目

これまで何度も触れた通り、筆者は2018年11月の米中間選挙以降、米国の州ごとの世論調査を分析し、「民主党の候補はバイデン氏」、「トランプ大統領は2020年大統領選で敗北」と予想してきています。

10月5日時点でもそう思っています。おそらく極めて少数派であったと思われますが、第1回米大統領候補TV討論会を受けて、そして、トランプ大統領の新型コロナウイルス感染を受けて、「トランプ氏絶対再選」との予想の一部に、日和見スタンスが見られてきている気がしています。つまり、やっと11月3日(火)米大統領選への関心度が高まってきたということです。今後も、さまざまな憶測やフェイク・ニュースが飛び交い、相場が乱高下する可能性が高いでしょう。

私から、読者の皆さんにお伝えしておきたいことは一つだけです。「米国時間11月3日(日本時間11月4日)に米大統領選の結果は判明しないことはほぼ確実であろう」、ということです。

激戦州であるスイング・ステートのミシガン州やペンシルベニア州、ウィスコンシン州では郵便投票〆切を11月3日必着としていましたが、裁判所の判決で「11月3日投函分まで有効とすべき」になっています。つまり、3日に開票作業を終えることはできないということです。従って、本来、米大統領選が終わるべき3日以降も市場混乱が継続することは必至と思われます。

もう今から、「11月3日に決着がつかない可能性」ではなく。「11月3日に決着はつかない」と見ているべきではないかと筆者は考えています。

<文:チーフ為替ストラテジスト 今泉光雄>

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