はじめに
新型コロナウイルス感染拡大から約半年。各業態とも収益に大きな影響を及ぼしましたが、特に「飲食店の客離れ」は深刻だと言われてきました。「飲食店が大変」というイメージは大半の人が持っていると思いますが、この推移を、月別などで見られる機会は限られていました。
そんななか、飲食業界が抱える様々な問題(顧客管理、ドタキャン対策など)に取り組み、飲食店向け予約・顧客管理システムなどの開発・提供を行う企業「テーブルチェック」が発表した国内外の約5000店舗からの集客動向データ、グラフを元に、外食利用者がどう推移したかをみていきたいと思います。
来店件数が前年度比8割減となった飲食業界
今年春に発出された緊急事態宣言の間、多くの飲食店では休業を余儀なくされていました。この結果1店舗あたりの平均来店件数を前年同月比で見ると84.1%減。ある程度想像はしていたものの、飲食店の経営者にとって恐ろしい数字となりました。
また、5月25日に緊急事態宣言が解除となった後、多くの飲食店は6月1日より少しずつ営業を再開し始めました。自粛期間中、外食をできなかった消費者の需要の高まりもあり、多少持ち返したようですが、6月期を数字で見てみると、それでも前年同月比で52.8%減。まだまだ回復には遠い結果となりました。
昨年同月と比較した5~6月の1店舗あたりの平均来店件数(左:5月、右:6月)。緊急事態宣言によって大きな影響があった5月は前年比84.1%減。解除後、少しずつ来店が戻りつつあった6月でも、前年と比べて52.8%減とまだまだ厳しい結果となりました(テーブルチェック調べ)
相次いだキャンセル
もっとも、来店件数が減った理由は、ソーシャルディスタンスを保つために座席を間引くなどの対応を強いられたこともあり、コロナ禍以前と同等の客席数を見込めなかったこともあります。前述の通り、消費者の外食への欲求の高まりはあったものの感染への懸念が飲食店、消費者双方にあったことがうかがえます。
また、6月2日に発動された東京アラートや、6月26日に新規感染者数が50名を超えるなどの際には、キャンセル率が上がる傾向もあり、消費者の新型コロナウイルスに対する不安がそのまま外食産業へ直撃していることもわかります。
6月2日に発動された東京アラートの影響でキャンセル率がアップ。以降もグラフは大きく山を描いていますが、6月26日の東京都の新規感染者数50名を超えたあたりでさらに上昇。7月最初の土曜日となった4日のキャンセル率は15.2%となりました(同)