はじめに
理解を深めるためのメソッド
Tip3. 英語に訳してみる
「理解しているつもり」のチェック方法として、英語(などの外国語)に訳してみることも有効です。
たとえば、「顧客に寄り添うサービス」を文字通り英訳してみると「stay by our customers」、“物理的にそばにいる”、“付き添う”という意味となります。しかし、そのフレーズに込められた意味は、そういうことではないはずです。
では、「顧客に寄り添うサービス」とは具体的に何を想定しているのか? それを実現するにはどうするか? 英訳することによって、見えていなかった「穴」をチェックすることができます。
Tip4. 理解できていないことを知るための「理解度チェックシート」
自分の理解度をチェックする方法がわかったら、次は「理解していること」と「理解していないこと」をそれぞれ挙げて、リストを作ります。
具体的にいうと、左側に「検討対象となっている情報や意見について、すでに理解していること」を書き、右側には「検討対象となっている情報や意見について、まだ理解できていないこと、疑問に思うこと」をリストアップしていきます。ここで大事なこととして狩野さんが強調しているのが、“すべて書き出す”こと。ぼんやりした疑問だからと放置せず、どんどん書き出しましょう。
そのうえで、自分の「理解できていないことは何なのか」をきちんと把握し、解決策を考え抜く。さらに、「理解していることリスト」の内容に対し、「本当に正しいの?」と自分でツッコミを入れてみるのが効果的だそうです。
『世界のエリートが学んできた「自分で考える力」の授業』本書52ページより
Tip5. 5W1Hでツッコミを入れる
手っ取り早くツッコミを入れる方法は、「Who(誰が)、What(何を)、When(いつ)、Where(どこで)、Why(なぜ)、How(どのように)」の、5W1Hにきちんと答えられるか自問すること。ビジネスの場合はこれに、「to Whom(誰に向けて)、How much(いくらで)」などを加えた問いに答えられるか確認してみるのです。
「なんのためにこの商品をだすのか?」「本当に必要なの?」と、「理解していること」「理解できていない」ことを疑ってみる。それが、意見を発展させ、その後のサービスや商品の差別化へとつながります。
Tip6. 「信号色のマーカー」で、吟味する
情報がある程度まとまった文書として与えられている場合、信号色のマーカーによる色分けが効果的だそうです。
「100%理解できていること」は緑、「なんとなく理解できるけど、調べた方がよさそうなこと」は黄色、「理解できないから、再検討が必要なこと」はピンクというように、三色で色分けをして線を引いていきます。
このマーカー色分け法のいいところは、読みながらスルーしてしまいそうなところを、あらためて「本当にスルーしていいの?」と自分に問い直すことができることです。
また、急いで結論に走ってしまいそうなときに、この方法で文章をもう一度じっくり読むことで、内容に対する理解を深めることができるので、たとえば軽率な意見をいうなど、自分の評価を下げてしまう行為の予防にもなります。
ほかにも、さらに理解を深めるための「よい質問」のしかたや、具体的な発想の広げ方など、狩野さんの著書は、さまざまな「自分で考える力」をつけるために役立つ“方法”を教えてくれます。
(日本実業出版社)
『世界のエリートが学んできた「自分で考える力」の授業』 狩野みき 著
うまく自分の意見が言えない、納得いく結論を持ちたいなら、そのための「考え方」があります。本書はTEDxTokyo出演の著者がハーバード大学のメソッドに基づく「考える力」を紹介。A4・1枚決断シート、ツッコミリストなど、すぐ使えるTipsも満載です。