はじめに
7月に発表された国連の電子政府ランキングでは、日本は14位と前回の10位から後退し、TOP10からも外れる結果となりました。一方で、コロナ禍における一律10万円の給付は大混乱をきたしました。日本のデジタル化の遅れが浮き彫りとなり、喫緊の課題となっています。
そのような中、菅首相は就任して間もなくデジタル庁設置を表明。平井デジタル改革相は9月30日にデジタル改革関連法案準備室を設置しました。12月に2021年度予算案を閣議決定、デジタル改革基本方針を取りまとめたうえで、21年秋の設置を目指しています。
デジタル庁が設置されると、この国のデジタル化は本当に進むのでしょうか。
21年秋の設置を目指すデジタル庁
デジタル庁とは、内閣官房の情報通信技術(IT)総合戦略室、総務省、経済産業省などの関連部局を統合し、行政のデジタル化を推進する旗振り役となります。菅首相の言葉を借りるなら「縦割り行政の打破」を行う組織です。
まずは、(1)国、自治体のシステムの統一、標準化、(2)マイナンバーカードの普及・促進を実施。各種給付の迅速化、スマートフォンによる行政手続きのオンライン化、民間や準公共部門のデジタル化の支援のほか、オンライン診療やデジタル教育などの規制緩和を進めていく方針です。
ランキング上位のデンマーク、エストニア
デジタル化が進み、利便性の向上が期待されますが、具体的にどのように暮らしが変わるのでしょうか。デジタル化が進む海外の事例を確認します。
ランキング1位のデンマークでは、金融機関と政府が共同開発した電子証明NemIDの普及が進んでいます。住民は、行政サービス、医療サービス、ネットバンキング等の認証に利用が可能で利便性が高くなっています。
行政手続きは、市民ポータルサイトで一元的に済ますことが出来ます。さらに医療分野でもカルテや処方箋の電子化が進み、そのデータは医療サービスに活かされています。
3位の無料ビデオ通話のスカイプ発祥の国であるエストニアでは、ほぼ全国民が国民IDカードを取得しており、公共サービスの99%が24時間毎日オンラインで利用可能。さらに、議会選挙のネット投票も広がっています。