はじめに
専門分野に偏った「過去の人」になるな
時代は刻一刻と流れている。未来に向かい、あなたはどのようにして、「転職に有利な専門性」を高めていけばいいのだろうか。これまで涙なくしては語れない血のにじむような努力を積み重ねてきたあなたに対し、大変いいにくいことではあるが、重大なる現実を知っておいてほしい。
商品や技術がときの流れと共に陳腐化し、すっかり時代遅れになっていくのと同様に、あなたの「実力」も使いものにならなくなる、という現実をだ。
あなたがどれだけその分野で活躍し、卓越したスペシャリストであったとしても、その武器が一生あなたを守ってくれる保証はない。今の時点では、まだ「将来消える職業リスト」に入っていなかったとしても、いずれそう遠くない未来において、あなたの能力を活かす仕事が“消えている”可能性だってあるかもしれない。
だから、あまり一つの武器に頼りすぎないほうが賢明だ。
専門性を磨くのもいいが、あまり固執せずに、臨機応変に武器をアップデートするか、頑なに偏りすぎないよう、切り捨ててしまう決断もありだろう。絶頂期にある今だからこそ、思いきるべきだ。
ただの「古い人」は、どこの企業からも相手にされなくなる。
とはいえ、一つの場所(会社)に留まっていると、カビが生えている感覚にピンとこないのも無理はない。そのまま放置されれば、カビは繁殖していくだろう。安定の中でずっと埋もれていると、世の中から置き去りになっている自分に気づかないまま、“過去の人”になっている場合があるのだ。
そこで最もいいきっかけとなるのが、転職である。
転職によって、あなたのお得意の武器がマイナーチェンジされ、どんどん磨かれていくこともあるだろう。転職によって、新たな武器を手に入れることもあるだろう。転職によって、まったく新しい発想が生まれることもあるだろう。
転職の鬼100則
早川勝 著(明日香出版社)