はじめに
2021年2月から放送予定のNHK大河ドラマ『青天を衝(つ)け』。主人公は「日本資本主義の父」と呼ばれ、2024年度に刷新される1万円札の顔=実業家の渋沢栄一(しぶさわえいいち)です。
幕末〜明治という時代の大渦に翻弄されながらも革新的な挑戦を続け、生涯に500社を超える企業を設立。数多の公共事業や民間外交、慈善事業にも尽力しました。挫折をものともせず、未来を切り拓いたその原動力とは……。
“伝説の外資トップ”としてビジネスの第一線で長年活躍し、現在は次世代リーダーの育成に力を注ぐ、新 将命(あたらし まさみ)氏の新刊『経営理念の教科書』に1つの答えがありました。
※本稿は伊庭正康『経営理念の教科書 勝ち残る会社創りのための最強のツール 』の一部を再編集したものです。
夢や理想は、成功の根源
私は、夢や理想は成功の根源であると確信している。成功とは何かというと自己実現を果たすということだ。
多くの人は、夢や理想はしょせん頭の中だけの世界、現実は夢や理想どおりにいかないものだと思い込んでいる。そのため「それは理想だ」という言葉は、ほぼ例外なく「現実感が伴っていない絵空事だ」という否定的な意味で使われる。
夢や理想は、それだけでは無力である。そこに「いつまでに」という時限設定と行動計画が加わることで目標が生まれる。目標がなければ、人生はただ単なる夢想で終わってしまう。企業にとって、夢や理想を言葉にしたものが「経営理念」だ。
よい経営理念のある会社は、場当たり的な経営に明け暮れることなく、時間の経過とともに成長と発展を続けるので、結果として大きな成功を得ることができる。「経営理念なき企業に、大きな成功はない」と言い換えてもいいだろう。
したがって、もし経営者として「わが社を持続性の伴った企業に育てたい」と願うのであれば、その第一歩は経営理念をもつことだ。そして、その経営理念を使うことにより、人と組織をリードしていけるのである。