はじめに

  ## 新型N-ONEの乗り心地は?

そこでさっそくドライバーズシートの腰を下ろしてみました。外観とは違い、室内は設計などを変更して、新しさがより明確になっています。それでも基本にあるのは、より使いやすく、快適なフィット感の実現です。あの旧型にあった適度なタイト感は今回も健在なのですが、別に狭いと言うことではありません。背が高すぎる軽自動車は、どこかだぶついたコートのような着心地で個人的にはあまり好きではなかったのですが、N-ONEはドアやフロントガラス、操作系やインパネとの距離感がちょうどよく、着心地のいいカジュアルウエアのようなフィット感なのです。これが実に心地いいのですが、新型は、ただ単に広さを求める方向ではなく、フィット感をしっかりと維持してくれていたのです。

さらにその感触は走り出してみるとさらに光ります。基本的な骨格がよりしっかりとしたので、走りに安定感が生まれました。キビキビと走り、サスペンションは路面のうねりをしっかりと吸収しながら、街角から街角へ、そして高速道路へと軽快に走って行けるのです。

そして高速道路では運転支援装置であるHonda SENSINGが、さらに磨きがかかった走りを見せてくれます。ACC(アダプティブクルーズコントロール)やLKAS(車線維持支援システム)の精度が上がって、以前よりさらに安心して快適で安心なドライブを楽しめるようになっていました。ゆったりとクルージングをしていると、軽自動車であることを忘れさせてくれるような質感の走りなのです。

外の変化は少なくとも、確実に進化した「程よい快適さ」を見せられると、見た目で判断してはいけないという、ごくごく当たり前の結論が改めて浮かんでくるのです。さらに今回のモデルチェンジで嬉しいトピックがひとつ。初代モデルの時に「ホンダらしい、ターボエンジンと6速マニュアルの組み合わせた仕様を」という声に応えるかのようなモデルが登場しました。マニュアルですから少数派であることは確かですが、N360のDNAを引き継ぐ存在とすれば、走りを磨いたモデルも当然必要です。

こちらも試してみると、これがまた楽しい。ATよりもこちらの方がN-ONEのキャラクターに合っているのでは、とも言いたくなるような仕上がりなのです。RSの6速MT、1,999,800円です。売れ筋となるプレミアムグレードが1,779,800円ですから20万円以上高額。それでも差額を払ってもいいと思えるほどの楽しさがRSのマニュアルにはありました。

現在のところ、新型のセールスは順調だとのこと。このタイムレスデザインの鮮度がまだまだ落ちないことを祈りながら、テストを終えました。

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