はじめに
雑談をしたチームとしないチームで比較
例えば会議では、心理的ハードルを下げるために、いきなり本題に入ることなく雑談で参加者同士の心理的安全性を確認してから、意見を出し合うようにします。そうすることでたくさんのアイデアが出てきます。
クライアント26社で、アイデア出し会議の冒頭2分だけ雑談を入れたチームと、雑談を入れなかったチームでそれぞれ30組ずつ2週間実践して比較検証しました。
その結果、雑談ありの会議のチームのほうが、発言者数と発言数が2倍近く多くなり、かつ時間通りに終わる可能性が1・6倍高かったのです。アイデアがたくさん出れば、意思決定の判断材料は十分に集まりますので、「今日は時間がないから次回再びアイデアを出し合おう」とならないのです。
この心理的安全性を確保する上で、重要なことは、最初にくだらない発言をすることです。最初に難しい話をすると、次に発言する人の精神的なハードルが高まり発言しにくい空気になります。安全性が確保されていなければ話さないほうが安全なわけですから、発言量が減り、結果的にその会議の目的を達成しません。
これは自分の価値観を押し付けない、ということにもつながります。異質なつながりを作るには、不要な固定観念や無駄なこだわりなどを捨てる必要があり
ます。そのため、「5%社員」は自分の弱い部分を見せて決して強い部分によるマウンティングはしません。
調査をしていて印象的だったのは、「5%社員」は、はじめての人と関係を構築するときに、カジュアルな雑談から入り、そこで相手との距離感を縮めた上で、関係を構築するとなったときは、まず自分の弱みをさらけ出していました。
アンケート調査でも、「5%社員」は自分の弱みを出すことに抵抗がないと答えた人は73%いました。一方「95%社員」の中では弱みをさらけ出すことに抵抗がないと答えたのは23%でした。
もちろん、「5%社員」は相対的に弱みが少ないかもしれませんが、心構えとして不要なプライドに引っ張られることなく自分のできないことや弱点を相手に見せています。
これは心構えではありますが、コミュニケーション手法の一環としても捉えられます。決して弱い部分を見せることが目的ではなく、弱い部分を見せるという手段を通じて、相手の懐に入るという目的を持っています。
また、異質なつながりによって、新たな化学反応を起こそうとしていますので、まずはその異質な人たちの性格や能力といった要素を表に出そうとしているわけです。
AI分析でわかった トップ5%社員の習慣 越川 慎司 著
ビジネスパーソン1万8000人を定点カメラ・ICレコーダー・GPSで調査、AI分析した働き方の結論。効率よく成果を出す人には、シンプルな「共通点」があった!