はじめに
「文章を書くことがストレスです」
「文章を書くことが苦手で……」
「文章を書くのに時間がかかります」
そんな「文章アレルギー」の人は多いのではないでしょうか? しかし、文章を書けるかどうかは、仕事の成果や周囲の評価に大きく関わります。
そんな文章に関する「困った」にやさしく応えてくれるのが、『そもそも文章ってどう書けばいいんですか?』を著書にもつ、山口拓朗さんです。
この連載では、これまでライターとして3000件以上の取材・インタビューを経験した中から導き出した、「書くことが嫌い」を「書くことが好き」へと変える、文章作成のコツを教えてもらいます。
支離滅裂な文章の原因は多種多様
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「言葉足らず」なうえに「文法」や「表現」も正確性に欠けている文章を書く人がいます。非論理的で文脈がつかみにくく、支離滅裂な文章は“悪文”と言えます。こういう文章に遭遇した時、読み手は脳をフル回転させなければいけません。しかし、頭をフル回転させたからといって理解できるとも限りません。
この文章を正確に(書き手の意図通り)読解できる人はいないでしょう。文法が破綻していて、言葉や表現の選び方も適切とは言えません。何の意図もなく打たれた読点(テン)も混乱を招く一因です。
書き手の頭の中では筋がとおっているのかもしれませんが、その筋を読む人に伝えきれていません。むしろ、読む人を混乱させてしまっています。ここまでひどい文章を書く人はめったにいませんが、これに近い文章を書いている人は思いのほか多いです。
【支離滅裂になっている原因】
・主語の抜け落ち(誰の話かわからない)
・テーマが見えない(何の話をしているのかわからない)
・「社会の排斥的なシールド」とは?(言葉が意味不明)
・「自分とはほど遠いとされる一般的な『ポジティブ思考偏重』」とは?(言葉が意味不明)
・「陰陽」って何のこと?(唐突かつ意味不明)
・読点(テン)を打ちすぎ(リズムが悪く読みにくい)
・文脈(文と文のつながり)のスムーズさがない
多くの場合、支離滅裂な文章の原因はひとつではありません。さまざまなダメポイントが積み重なった“合せ技”によって起きているのです。
読み手に余計な頭を使わせない、親切な書き手になろう!
先ほどの例文を修正してみます。
ところが、世間では「ポジティブ思考をしよう」という意識高めな基準が存在します。それによって、ネガティブであること自体が“良くない”とする風潮が生まれました。「ネガティブ思考」に陥りやすい自分を責めて“罪悪感”を抱いてしまう人も少なくありません。
本シンポジウムは、おそらく、従来の「ネガティブ思考」に対する悪いイメージを根底から覆すイベントになるでしょう。
ネガティブ思考は「陰」であり、ポジティブ思考は「陽」です。「陰陽」はそもそも一体であり、そこに良し悪しはありません。どちらも人間が生きていくうえで大切にしなければいけないものです。
本イベントが、相互補完関係にある陰陽(ネガティブ思考とポジティブ思考)それぞれの価値を実感する機会となれば幸いです。
「論理性」と「わかりやすさ」を意識して支離滅裂な原文を修正しました。心がけたポイントは以下です。
【論理の明確化】
一文を短めにした。
主語、述語、目的語などを明確にした。
論理を整えて筋を明確にした。
【意味の明快さ】
意味不明な言葉を、わかりやすい言葉に変更した。
抽象的な言葉(あいまいな言葉)を、具体的な言葉に変更した。
「言葉足らず」を補う説明を入れた。
【読みやすさ】
不要な読点(テン)を削除した。
文脈(全体の流れ)を整えた。
空白の行を入れた。
ことビジネスシーンで支離滅裂な文章を書けば、書き手自身の信用低下を招くこともあります。また、誤解に端を発し、人間関係やビジネスに実害が生じる恐れもあります。
支離滅裂な文章を書く人は不親切な人です。なぜなら、読み手に余計な頭を使わせているからです。書き手の頭が整理されていない責任を、読み手になすりつけているようなものです。
あなたの文章は支離滅裂になっていませんか? 身に覚えがある方や、他人から「意味がわからない」と言われがちの方は、上記のポイントを念頭に置きつつ文章作成しましょう。
(記事提供:日本実業出版社)
『そもそも文章ってどう書けばいいんですか?』山口 拓朗 著
「文章を書くことがストレス」「書くのに時間がかかりすぎる」「そもそも頭のなかにあることを文章にできない」……本書はそうした「文章アレルギー」のある人たちに、マンガを織り交ぜながら、わかりやすく文章の書き方をレクチャーしていきます。