はじめに

男性だから仕方がない、ではない 

同じ講演会で「やっぱり子どもが欲しいからといって、中年男性が若い女性を求めるのは仕方ないのでしょうか」という質問がでました。

同じく子どもが欲しいからかなり年下の相手を、と求めていることに対し、男性に関しては「先生、それは仕方がないのでしょうか」という質問、女性については「どう思いますか」という質問がでるという、皆さんのアンコンシャスバイアスに苦笑いを心に浮かべてしまいました。

ここまで読んでいただいて気がついた方は多いかもしれませんが、男女そろって「生殖のためにカップルになる」という動物の本能から考えれば「どっちもどっちで、年を取ると相手に若さを強く求める頭になりやすい」ということです。

医学的データはここでは省きますが、自らの生殖能力は若い時に比べて男女とも落ちます。ゆえに相手にそれについての補完を強く求めるわけです。
そして、それは男性だから女性だから許されますか?という話ではないのです。

「やっぱり子どもが欲しいからといって、中年男性が若い女性を求めるのは仕方ないのでしょうか」という質問には、こうお答えしました。

「仕方がないと考えるかどうかはご本人の覚悟と責任の問題です。ここまでのお話しでデータからはその選択は『いばらの道である』ということはしっかりお伝えしました。仕方ないかどうかはご本人が決めることなのです」

いずれにしても、出産可能年齢の最後にあたる40代女性が、成婚実績としてみてみると若い女性よりも年下夫にこだわって選択した様子が垣間見えています。
この結果からは、

1.妊娠のしやすさ(夫の年齢が上昇するほど妊娠までの期間が長くなる等※)
2.自らの体力が激減する出産後の育児のしやすさ

を考えると、「産む側として」年下男性を求めるのは合理的な選好傾向であるといえます(※齊藤英和,国立成育医療研究センター臨床研究員・公益財団法人1more Baby応援団 理事/心配だからこそ知っておくべき 妊娠・出産の正しい知識 〜妊娠適齢期から考えるライフプラン 全4回 ①【男性編】)。

しかし、年下の男性を選ぶということは、女性の経済力と男性の経済力に大きな格差がある日本において「女性が経済面で腹をくくる」話でもあります。
「養ってくれる年下王子の子どもが欲しい」
そんな発想では婚活が成功しないだろうことも、年下夫を希望する女性は覚悟しておく必要があるでしょう。

男性も女性も関係なく、「物事の都合のいい面だけを主張し、都合の悪い面は見ないふりをする」ことをやめることが、結婚難民にならないために一番大切なことだと思います。

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