はじめに
今後はバブル終了へ警戒?それとも押し目買いが有効?
これまでの1年間は、以前よりさらに増した中央銀行の金融緩和を背景としたいわゆる金融相場による株価上昇でした。株式バブルなのではないかと声もあがる中で、ここからは金融相場から業績相場への移行が課題になってきます。
ここ数ヶ月は経済再開への期待から米国の長期金利が上昇し、低金利によって説明がされていたハイバリュエーションのグロース株を中心に売りにおされ、米国を中心として世界的にマーケットが乱れる場面がありました。
一方で金利上昇も一服し、相場も金利上昇への警戒感を持ちながらも一時の下落を取り戻しています。いよいよバブルの終焉かと思いきや軽い調整で済み、再び上昇へと転じていきそうな気配がしてきています。
そうなると、今後は想定の通り業績相場に移行することができるのかが焦点となるでしょう。とりわけ企業の業績が安定するには経済正常化が不可欠であり、その道筋を大きく左右するのはワクチンの接種状況ではないでしょうか。
すでに各国でワクチン接種のスピードに差は出てきていますが、それに伴い感染状況にも差が出てきています。ワクチン接種が進むアメリカは感染者の抑制に成功していますが、新興国ブラジルをはじめ感染者数の増加が止まらない国もあります。
加えて、3月に入り英アストラゼネカのワクチンに副作用の恐れが懸念され、欧州を中心に接種が見送られ始める事態にもなっています。昨年のコロナショックも米国ではなく欧州での感染拡大が引き金となったため、ワクチン接種の中断による欧州各国の感染者数の変化、政策動向には注目が集まります。
また日本においても、現状各国と比べるとワクチン接種スピードが極めて遅い状況になっています。ワクチンに期待できないとなると、目覚ましい感染動向の改善には期待ができない上、景気の観点でも消費の低迷など厳しい状況が続いています。
またオリンピックや選挙などの政治動向も動きが予想されるため、特に日本株投資の観点からは例年は上昇の傾向がある4月に入るものの、警戒感は強めておいても良いかもしれません。
業績相場へ転じ、さらに株価が上昇するかどうかは、やはり新型コロナウイルスの感染動向に安心できるようになるかがカギではないでしょうか。
ショック時はどう立ち振る舞う?
コロナショックからの回復局面では、指数が大きく上昇したこともありますが、個別で見ても目覚ましく上昇した銘柄が多く見られました。一方で下落時に狼狽売りをしてしまい、その後の上昇にも乗れず悶々としてしまった方も少なくないかもしれません。ショック時にはどのように振る舞うのがよいのでしょうか。
もちろん、短期で取引をしている場合は一定の水準まで達した段階で損切等を行うことは非常に重要です。しかし長期の目線でつみたて等をしている場合は、株価の値動きに応じてポジションの取り崩し等は行わなくていいかもしれません。
長期の投資は目先の利益というよりは将来の備え、何らかの目的のために行っているものであり、短期の値動きで決断が揺らいでしまっては本来の目的が達成されなくなってしまいます。
実際、結果論であるものの株価指数は下落前の水準よりも高く推移しているため、株価が下がったタイミングでも積立を続けていた場合は取得単価の低減にもつながり利益の上乗せとなった経験をされた方もたくさんいるでしょう。
日々の値動きも楽しみつつ、長期的な視点とのバランスを保ちながら投資に向き合ってみてはいかがでしょうか。
<文・Finatextホールディングス アナリスト 菅原良介>