はじめに
袋分け管理は支出の全体層が把握できているかがカギ
袋分けの家計管理をしていても、予算が足りなくなって他の費目の袋から流用することがあるということですが、これはこの家計管理法でよく見られる失敗です。
そもそも、各費目の予算はどのように決めてきたでしょうか。生活の実態に合わない予算を設定すると、当たり前に予算オーバーが起きたり、使わず余るということも起こります。予算が余ったらそれを貯めていこうなどと計画していても、思うようにいかないのです。
このようなことが起こらないように袋分けの家計管理をするには、支出の全体像が把握できていなければなりません。毎月、食費はいくら程度かかっているか、交際費はどのくらいあれば足りるか。そんなことを各費目ごとに把握できていないままに立てる予算は、簡単に崩れてしまうのです。
生活の仕方に合わず、極端に低額の予算を立てても意味がありません。まずは支出の記録をしてご家庭では何にいくら使って暮らしているのかを把握し、そこから予算を考えてみましょう。
メタボ支出の改善を
家計管理の方法が合っていなかったことが原因なのか、そもそものお金の使い方なのかわかりませんが、支出状況は家計表にまとめたように、全体的にメタボになっています。支出の記録をするのであれば、支出全体を振り返り、支出をスリム化することも考えてみましょう。
例えば食費。外食が多かったり、食材にこだわりすぎたりしていないでしょうか。妊娠中なので、体調等により仕方がない部分もあるかと思いますが、二人暮らしの食費にしてはやや多めだと感じます。収入に対しての割合は18%ほどなので、極端ではありませんが、見直しが可能だと思います。貯められている人での理想的な割合でいうと、ご相談者と同じような家族構成では15%未満という当社のデータもあります。ご相談者のご家庭の場合、金額にして5万6,000円ほどです。一つの、目安にしてください。
通信費も、使い方によっては契約プランの見直しなどで料金を下げられる可能性がありますし、こづかいの役割をはっきりさせ、こづかい的な支出を家計支出に含めないようにしていくことでも支出が減る可能性があります。
もし、袋分けの家計管理を続けたいのであれば、費目ごとに細かく分けない方が上手くいく場合が多いものです。食費と日用品など毎日のように支出しがちな費目は、お金の出入りが多いため、袋分け管理では混乱しがちです。ならば二つの費目を合わせ、1週間ごとの予算をたてて管理すると、とても管理が楽になります。口座引き落としではない交際費や娯楽費、医療費等といった支出は、1カ月の予算を立てると管理しやすく、支出のコントロールもしやすくなると思います。
家計管理には、向き不向きがある
多くの家計を見ていると、その管理方法には人により向き、不向きがあると感じます。1円単位まで細かくきっちり管理するほうがストレスがたまらず、納得して家計と向き合えるという人もいれば、細かく管理すると気になりすぎて1円の狂いも見逃せず、ストレスがたまるばかりという人もいます。
同じように、袋分けが性に合うという人もいれば、きっちり分けると支出の管理がしにくく混乱するという人もいるのです。
自分に向かない家計管理法を無理にすることはありません。家計を管理することが目的なのではなく、お金を残し、貯金を増やすということが目的です。自分がやりやすく、効果の上がる方法が一番なのです。
ですから1つの家計管理方法にこだわるのではなく、自分なりのアレンジを加えてもよいですし、全く違う方法をしてもよいと思います。お子さんが生まれて忙しくなる前に、ご相談者のご家庭なりのいい方法を見つけていただきたいと思います。
また、ご相談者1人が頑張るのではなく、夫も一緒に家計のことを理解し、管理できるようになると、いろいろなアイデアも出てくるでしょうし、心強いのではないかと思います。貯金を増やせるご家庭は、お金や家計の話をご夫婦で共有できている場合が多いものです。ぜひ夫も巻き込んで家計管理をしていきましょう。
連載「みんなの家計相談」でお悩み募集中!読者のみなさんからいただいた家計や保険、ローンなど、お金の悩みにプロのFPが答えます。相談はこちらから。