はじめに
副業満足度の高い人がやっていること
それでは、副業の満足度を高めるにはどうしたらよいのでしょうか。グラフは、副業経験者を副業満足度の高いグループ(High)と低いグループ(Low)に分けて、「副業実施の理由」を比較したものです。
「生計を維持する最低限の費用以外に、貯蓄や自由に使えるお金を確保するため」と「生計を維持する(生活費や学費を稼ぐ)ため」という収入面に関する項目は、どちらのグループも高い選択率を示しています。一方、これらの項目以外ではほぼすべてで「副業満足度の高いグループ」が「副業満足度の低いグループ」を上回りました。
特に差分が大きかったのは、「様々な分野の人とつながり、ネットワークをひろげるため(28.9ポイント差)」「社会に貢献したいため(24.4ポイント差)」「兼業・副業での経験を主たる職業の仕事に活用するため(22.1ポイント差)」などです。
「副業満足度の高いグループ」は副業をする際に、収入面に加えて、ネットワーク拡充・能力開発・社会貢献といった多様な理由も重視していることがわかります。
たとえば、ビジネス特化型SNSリンクトインの創業者であるリード・ホフマンは、著書『ALLIANCE』※のなかで、「ネットワーク情報収集力」の重要性を説いています。社員の人的ネットワークを通じて得られる知識や情報は、組織が外部とかかわり合いをもつことや、そこから学ぶのに最も効率的な方法であるという考えです。このような「ネットワーク情報収集力」を高めるために副業を活用するのも一つの方法です。
副業は余暇やプライベートの時間を削って仕事を行うわけですから、対価である収入を重視することは大切です。そこからさらに、収入“+α”の目的を持つことで、副業に対する満足度は高くなると言えるでしょう。
※…リード・ホフマン, ベン・カスノーカ, クリス・イェ, 篠田真貴子監訳, 倉田幸信訳, 『ALLIANCE アライアンス——人と企業が信頼で結ばれる新しい雇用』ダイヤモンド社, 2015年, p120.