はじめに

自動車向け半導体不足が深刻です。当初「2~3か月で正常化が可能」といった楽観的な見方もありましたが、半導体の供給が需要を満たすのは来年、2022年にずれ込む見通しです。

自動車産業は半導体不足で4%程度市場が縮小するという予測もあります。4%とくらい大したことないと思われますが、世界全体の自動車販売額は年間300兆円以上です。4%は大きな金額です。


半導体の需給がととのうのはいつ?

自動車向け半導体が最も不足する時期については、4月から6月となりそうです。大手自動車メーカーの生産計画をみても、6月はトヨタも減産を実施します。岩手工場で2回に分け8日間、宮城工場で3日間稼働を止めます。日産自動車は、メキシコ工場や神奈川、九州、栃木の国内工場で数日稼働を停止したり、夜間勤務を取りやめたりして生産を調整します。

7月以降になると、段階的ですが自動車向け半導体の供給が増え、需給が改善すると考えます。半導体大手ルネサス エレクトロニクス(以下、ルネサス)が3月に茨城県の工場で発生した火災によって落ちていた生産能力を7月に完全復旧させるほか、台湾の半導体受託製造大手のTSMCも、2021年の自動車向け半導体の販売を2020年に比べ6割増やすと宣言したからです。

自動車向け半導体は製造に2か月程度かかります。7月にルネサスの生産能力が火災前に戻ったとしても、出荷が火災前に戻るのは早くてさらに2か月後の9月ということになります。ただ、ルネサスの火災発生前、昨年暮れあたりから、自動車向け半導体はすでに不足していました。したがって、ルネサスの生産能力が復旧し、TSMCが増産しても、需要を完全に満たすことはできないと言われています。需給が正常化するのは早くて来年半ばとなるのはこのためです。

需給正常化が来年でも、株価は将来を先回りして織り込みます。半導体不足の影響が懸念され、今年に入って株価が調整している電子部品関連株は、底値を拾うタイミングが到来したと考えます。

村田製作所や日本電産、TDKなど電子部品関連株は年初来高値から2割程度下落した水準にあります。ただ、直近1か月については、いずれも日経平均を上回るパフォーマンスとなっており、株価に底打ち感があります。中期的なスタンスなら、電子部品関連株は絶好の買い場が到来している、と考えます。

なお、自動車向け半導体の需給が正常化しても、半導体全体の需給はタイトな状況が続きます。すべての用途の半導体の需要が充足されるのは、TSMCやインテルの新工場が完成する2023年後半以降になると考えます。

<文:シニアアナリスト 斎藤和嘉>

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