はじめに

「海外と比べて新型コロナウイルス感染症のワクチン接種が遅れている」と指摘されてきた日本でもワクチン接種が増えてきました。

医療従事者や一般(高齢者含む)を対象とした日本国内のワクチンの接種回数は6月23日時点で累計3千5百万回を超え、6月には1日当たりのワクチン接種回数が政府目標の100万回を超えた日もあります。今年4月末頃のワクチン接種回数が1日30万回前後だったことを考えれば、日本でのワクチン接種状況は短期間で大幅に改善していると言えるでしょう。

足下では企業内でワクチン接種を行う動きもあり、今後もワクチン接種が進むことによって、日本も海外同様に経済の正常化に向けた動きが強まりそうです。

日本交通公社(JTBF)が今年1月に行った「コロナ収束後の旅行意向に関する調査」では、回答者の7割が「旅行に行きたい」とし、昨年10月以降では「これまで以上に旅行に行きたい」と回答した割合が増えています。このような調査結果も考えると、今後、経済の正常化が進むにつれて、観光や旅行といったコロナ禍で抑えられていた需要が回復する公算は大きいでしょう。そこで今回は、回復局面を迎える旅行消費と注目銘柄を紹介します。


旅行消費の回復余地は大きい

旅行消費とは宿泊旅行や日帰り旅行など、旅行者が旅行に関連して消費した金額のことです。観光庁の旅行・観光消費動向調査によると、2020年の日本人による国内旅行消費額は前年比54.5%減の9兆9,738億円と大幅に減少しました。

大幅に減少した理由は、宿泊や飲食を中心に、交通機関、娯楽サービス(温泉、テーマパーク、スポーツ観戦、音楽鑑賞など)、旅行準備やお土産の買い物など、旅行に関わる幅広い分野で新型コロナウイルス感染症を防ぐための行動制限の悪影響を受けたためです。

もっとも、ワクチン接種が進み、経済が正常化に向かうことで、コロナ禍で減少した旅行消費は増加に転じる見通しにあります。新型コロナウイルス感染症が拡がる前の2019年の日本人による国内旅行消費額は約22兆円(21兆9,312億円)と2020年の約10兆円から12兆円上回る規模でした。2019年の4.8兆円から2020年には0.7兆円へ減少(観光庁試算)した訪日外国人旅行者によるインバウンド消費が今後、段階的に回復する可能性を考えれば、国内旅行消費の回復余地は12兆円以上と試算することが出来そうです。国内旅行消費の回復余地は大きく、今後は幅広い分野で旅行消費の回復が期待出来そうです。

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