はじめに

読者のみなさんからいただいた家計や保険、ローンなど、お金の悩みにプロのファイナンシャルプランナーが答えるFPの家計相談シリーズ。今回は深野康彦氏がお答えします。

3歳と0歳の子供がいます。子供の教育資金として、一人あたり毎月1万円ずつ積立をしたいと思っています。20年間は頑張って積立を続けたいです。預金や保険にあまり魅力を感じず、売ったり買ったりするのも得意ではないので、投資信託の自動積立を考えています。

管理が楽そうなバランスファンドで探しているのですが、たくさんありすぎてわからなくなってきました。長期運用をするためには、なにを基準に選んだらいいのか教えてください。また、バランスファンドも相場次第では売り買いをした方がいいのでしょうか?
(30代前半 既婚・子供2人 女性)


深野: 子供の教育費を投資信託で準備されようと考えられているようですが、投資信託選びの前に子供の進学予定などは決められているでしょうか。仮に子供を小学校、あるいは中学校から私立へ通わせようと考えられているなら、すべての教育費を投資信託だけで賄うのは厳しいかもしれません。

相場次第では売却も視野に

投資信託で教育費を準備するなら、少なくとも10年以上、できれば15年以上準備する期間を設けたいところです。なぜなら、投資に絶対はありませんので、必ず増やせるわけではないうえ、元本を下回ることもありうるからです。

ただし、運用期間を長くすることで元本を下回るリスクを抑えることができ、また収益を確保するチャンスが増えます。上のお子様であれば、ぎりぎり中学校以降、下のお子様も中学校以降の教育費にあてるつもりと考えてください。

筆者も子供が2人おりますが、教育費の準備を主に投資信託で行ってきました。子供が生まれた年から積立を始め、大学の資金に間に合うようにと準備を進めておりました。仮に上の子の教育費に間に合わなければ、下の子に充てればいいと思っていました。また、万一のことを考え、定期預金での積立も併用しました。

結果、投資信託で積み立てたお金は、上の子の大学の初年度の資金に充当することができました。初年度は定期預金には手を付けずに済みましたが、2年目以降は併用した定期預金の一部を充てることになりそうです。

ポイントは、投資信託だけの準備ではなく、定期預金や学資保険などを併用して行うこと。および、ご質問にもかかれているように、相場次第(運用益次第)では売却をしたほうがよいということです。

子供の進学に合わせて相場は動いてくれないため、進学時期、言い換えればお金を使う直前に、必ず利益が上がっているわけではないということです。子供の進学時期前でも十分に利益が出ているのであれば売却し、その後は定期預金などで安定運用して進学時期を迎えてもよいということです。

矛盾するかもしれませんが、長期投資は必ずしも長期間保有しなければならないわけではないということです。

教育費の準備は変動が穏やかのものを

バランス型投資信託での積立を考えられているようですが、バランス型投資信託は国内外の複数の資産クラスを運用対象にしている投資信託です。カギは株式やREIT(不動産投資信託)の組み入れ比率。この比率が高いものほど基準価額の変動は大きくなり、反対に比率が低いものほど基準価額の変動は穏やかなものになると考えてください。

子供の教育費の準備であれば、基準価額の変動が穏やかなもの、せいぜい株式やREITの組み入れ比率は50%以下に抑えたもののほうがよいでしょう。資産を増やすには複利効果を活用するといいますが、複利効果は価格の変動が大きいものより小さいもののほうが高いといわれているのです。

ちなみに、筆者が投資信託の積立を始めた当時は、現在のようなさまざまタイプのバランス型投資信託はなく、株式型で積立を始めました。そのような背景から定期預金を併用したのですが、リーマンショック前には数十万円の含み益が出ていたものの、リーマンショック後に全て吹っ飛び元本割れとなってしましました。

しかしめげずに積立を続けた結果、投資信託の利益はプラスに転じて2014年に教育費として充当しました。結果オーライでしたが、さすがに株式100%の投資信託には肝を冷やしました。

筆者と同じ経験をしないよう、リスクを取りすぎずに教育費の準備を行ってください。

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