はじめに

9月3日の午後、菅首相が自民党総裁選に不出馬の意向が伝わったことを機に相場は上昇ピッチを速め、あっという間に日経平均株価が3万円の水準まで駆け上がりました。しかし、相場の潮目が変わったのは少しさかのぼる8月31日の後場だと筆者は考えています。

日経平均株価は前月の7月まで11カ月連続で月末日がマイナスとなっていました。8月31日の前引けが前日比53円安の2万7,736円と、下げ幅が小幅にとどまり、12カ月連続の月末安を意識していた投資家の買戻しを誘ったとみられ、後場は上げ幅を広げる展開でした。

市場関係者が注目していた8月27日の米ジャクソンホール会議では、パウエル米連邦準備理事会(FRB)議長がオンライン講演し、米量的金融緩和の縮小の示唆と早期利上げを牽制する発言がありました。市場が求める回答をもって無事通過したかたちです。

国内では新型コロナウイルス感染者数の増加がピークアウトの様相を呈しつつあり、日本株を売る動機が次第に希薄になりつつある中、支持率低迷に苦しんでいた菅首相不出馬のニュースが飛び込んできたことで相場は一段高の反応を示しました。

日本株の頭を抑えていた様々な不安要素という名の氷が解け始めたことよって、海外主要株と比べて出遅れが目立っていた日本株を見直す動きが加速している状況にあるといえます。


新型コロナウイルス新規感染者数が減少傾向に

菅政権による新型コロナウイルス感染対策が失敗しているような意見も聞かれますが、菅首相が日米首脳会談を契機に米ファイザーとワクチン追加供給の道筋を作った功績があるのは事実でしょう。また、人口に占める新型コロナウイルスの感染者率は先進国の中で最低水準にあります。

東京都及び全国の感染者数の増加はピークアウトの様相を呈し、前週と比べて減少傾向が続いています。パンデミック回避には、ワクチン接種進展による集団免疫の獲得が有効策とされ、変異型の影響を封じ込めるためにも重要であると考えられています。足元の感染者数減少はワクチン接種が進んだことが奏功していると推測されます。

9月末には7割以上が1回以上のワクチン接種が済む見込みです。また、国産ワクチン開発への期待も高く、コロナを乗り越え経済活動が再開されることへの期待が株価を押し上げていると推測されます。