はじめに

正確な情報伝達は信頼度UPにつながる

「5W3H」の抜け落ちは、文章の書き手にとって致命傷になりかねません。なぜなら、文章でのやり取りは会話のように相手から「それってどういう意味?」と突っ込んでもらいにくいからです。

つまり、書き手の知らないところで、読み手に「この人の文章はよくわからない……」と、そのままスルーされてしまうのです。もちろん、書き手の真意が相手に理解されることはありません。

スルーされるだけならまだマシです。場合によっては、誤解やトラブルを招き、書き手の信用を下げてしまうこともあります。あるいは、仕事上で大きな損失を出してしまう恐れも。
とくにビジネスシーンで文章を書くときには、「5W3H」のどの情報を盛り込むべきか、そのつど十分に検討する必要があります。

小林部長、お疲れさまです。残念ながら採用には至りませんでした。

多忙を極める小林部長は、部下から届いたこのメールを読んでイラっとしました。「どの案件の話だ?」。このメールには小林部長が知りたい「5W3H情報」のほとんどが抜け落ちています。

■「When」:昨日/3日
■「Where」:A社の赤坂支店
■「Who」:小林部長の部下/A社の飯田社長
■「What」:動画プロモーション企画のプレゼンテーション(プレゼン)の件/その企画が不採用になった件
■「Why」:コスト面(予算面)で折り合わない
■「How many」:手応えはあった(企画内容への評価は高かった)

以下は、これらの「5W3H」を盛り込んで書いた文章です。

小林部長、お疲れさまです。昨日(3日)、A社の赤坂支店にて「動画プロモーション企画」のプレゼンをしてきました。結果は不採用でした。企画内容には高い評価をいただきましたが、飯田社長いわく「コスト面(予算面)で折り合わない」との理由でした。

必要な「5W3H」を盛り込んだこのメールであれば、小林部長が大きな不明点や疑問点を抱くこともないでしょう。

「5W3H」はあらゆる文章で求められる情報です。必要な「5W3H」が抜け落ちることによって、せっかくの有益な情報が間違った形で伝わってしまう。せっかくの魅力的な提案を受け入れてもらえない。

せっかくのすばらしい商品・サービスに興味を持ってもらえない――など、悲劇を招きやすくなります。

あなたがいま書こうとしている文章はどうですか? 読む人が理解・納得するために必要な「5W3H」は、きちんと盛り込まれていますか? 相手が理解・納得するうえで必要な「5W3H」の抜け落ちに注意しましょう。

そもそも文章ってどう書けばいいんですか? 山口拓朗 著

そもそも文章ってどう書けばいいんですか?
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(この記事は日本実業出版社からの転載です)

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