はじめに
「オミクロン株」ワーストケースで市場はどうなる?
では、ここからは懸念されている「オミクロン株」が、感染力が強く、重症化率が高い、さらにワクチンや薬の効果が弱い、といった最悪レベルのパターンを想定し、株式市場への影響を考えてみます。
「オミクロン株」の脅威が増したことで、一旦、株価市場では大きく下げる局面が考えられます。半面、インフレを背景とする米国などにおける金融政策正常化への時期を遅らせる等の措置が見られれば、世界的な金融緩和政策の継続との見方が広がるとともに、株価が反発する場面が訪れる可能性が高まると考えられます。
11月30日に世界半導体市場統計(WSTS)が発表した、2021年の半導体市場見通しは、前年比25.6%増の5,529.61億ドル(1ドル=113円換算で約62.5兆円)と、6月予想5,272.23億ドル(同約59.5兆円)から上方修正されました。
また、2022年の半導体市場は、同8.8%増の6,014.90億ドル(同約68.0兆円)と、過去最高になると公表しています。
製品別市場動向を見た場合、半導体 IC アナログ、マイクロ、ロジック、メモリでは、2021年予想ではすべて2桁増となる見込みです。市場の前年比伸び率について、2022年は2021年ほど伸長しない見込みですが、堅調な半導体市場の拡大が予想されています。
今後もIoT(モノのインターネット)、5GやDX(デジタルトランスフォーメーション)の普及により、スマート化の進展が予想されます。
「オミクロン株」の不透明要因により、値動きの激しい株式市場ですが、成長分野である半導体関連銘柄、とくに、市場シェアの高い競争優位性がある企業への投資チャンスと考えることもできます。前向きな投資姿勢が、花を開くかもしれません。
<文:投資情報部 野原直子>