はじめに
## 第6波が来なかった場合の方が…?
筆者はむしろオミクロン型の感染拡大の影響が限定的で、第6波が訪れなかった場合の方が株式市場に悪影響が及ぶと考えています。
オミクロン型は世界各国で拡大しているものの、本稿執筆時点では感染者のほとんどが軽症となっており、WHOもパニックに陥る必要はないと呼び掛けています。現時点での断定は早計なものの、これまでの新型コロナウイルスが弱毒性(と仮定した場合)のオミクロン型に置き換わることによってパンデミックが終わりに近づく可能性すらあります。
そうなった場合には世界各国で緊急措置として行われてきた金融・財政両面での支援が打ち切られ、金融引き締めと財政再建のための増税が実施されます。
米連邦準備制度理事会(FRB)は11月の連邦公開市場委員会(FOMC)で資産買入れ縮小(テーパリング)の開始を発表しましたが、パウエル議長は11月30日の議会証言で早くもテーパリングを当初の予定から加速させる議論を始めると述べています。このまま感染が落ち着くとテーパリングは当初想定されていた2022年6月ではなく3月にも終了し、年央には早くも利上げが実施される可能性があります。
また、英国ではジョンソン首相が当初の公約を破り、財政再建のために法人増税や健康保険料の引き上げを発表しています。日本でも岸田政権は金融所得税をはじめとした多岐にわたる増税と社会保険料、雇用保険料の引き上げを示唆しています。
これまでのところ新型コロナウイルスへの警戒感が残ることから議論が本格化していないものの、冬場の感染拡大が限定的にとどまれば来年は世界各国で大規模な金融引き締めと増税が実施されると見られます。