はじめに

経済再開が本格化しても生じる懸念

経済再開の本格化による景気拡大への期待は強いものの、これまで述べてきたことと同じ理由で、上場企業の利益が意外と伸びないことは十分考えられます。

経済再開によって飲食や旅行への需要が高まることは、おカネの流れる先が上場企業から非上場企業へと変わることを意味します。飲み会や旅行、実店舗でのショッピングが忙しくなったことで、ネット広告やサブスクリプション型の動画サービスを見る時間が減ると、上場企業の業績は伸びにくくなります。そこにさらに金融引き締めと増税が加わると、株式市場はバリュエーションと需給の両面で打撃を受けます。

現時点ではオミクロン型の感染と症状がどう推移するかは予断を許しません。しかし、単純に「感染拡大では株安、感染収束では株高」となるわけではなく、株価を予想する上では上場企業の業績と政策サポートの状況がどう変化するかを見ていく必要があります。

※内容は筆者個人の見解で所属組織の見解ではありません。

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