はじめに

2021年も残すところわずかとなりましたが、半導体産業は2年連続で絶好調でした。

国際半導体製造装置材料協会(SEMI)によると、シリコンウエハーの2021年の出荷面積が前年比14%増となり、半導体前工程装置販売額も44%増となる見通しです。いずれも、2020年に続き2年連続のプラス成長となり、過去最高を更新します。

シリコンウエハー出荷面積は1月から9月までの累計実績がすでに14%増であり、SEMIの予想はほぼまちがいなく達成できそうです。半導体前工程製造装置販売額についても同じで、SEMIの予想から大きく乖離しないと考えます。日本製装置と米国製装置を合算した販売額は半導体製造装置販売額の約7割を占めますが、この合算値の9月までの累計実績が前年同期比4割増となっているからです。

今後、株価は2022年を材料視する展開になりますが、見通しは明るいと考えます。


2030年には世界半導体売上高は1兆ドルへ

2022年のシリコンウエハー出荷面積の伸びは、2021年の14%から1桁台半ばにペースダウンします。これは供給能力に制約があることが理由で、需要は旺盛です。需給ギャップの拡大により1月から価格が大きくアップする見通しです。信越化学工業やSUMCOは値上げ効果をフルに享受すると考えます。

半導体製造装置販売額も2021年は前年比4割増となりました。2022年は伸びが1割程度に鈍化する見通しですが、台湾セミコンダクタやインテル、そして、サムスン電子などが最先端のEUV関連投資を増やします。製造装置各社は高付加価値の装置の売上構成比率が高まり、増収率の鈍化をカバーして2桁成長が続くと考えます。

半導体への追い風は2023年以降も続き、2030年には世界半導体売上高が1兆ドル、約113兆円に拡大するといわれています。

1兆ドルは今年の見込み額5500億ドル、60兆円の約2倍です。10年で2倍なんて無理ではないかと思われるかもしれませんが、世界半導体売上高の過去30年を振りかえると、10年で約2倍というペースで拡大してきた実績があります。具体的には、1991年から2001年が2.5倍、2001年から2011年が2倍、2011年から2021年が1.9倍というペースで拡大してきました。

半導体は需要に供給が追い付かず足下で不足していますが、5G、デジタルトランスフォーメーション、メタバース、そして、脱炭素へのシフトが半導体需要に拍車をかけることは間違いありません。世界半導体市場が2030年に2倍になるというシナリオの達成確度は高いと考えます。

そして、世界半導体市場が2倍になるということは、半導体材料市場や半導体製造装置市場も2倍、場合によっては2倍以上になるということです。半導体産業への追い風は今後も止むことはないと考えます。

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