はじめに
地政学リスクを意識せよ
その他のリスクとしては中国が台湾へ、ロシアがウクライナへ軍事侵攻するという地政学リスクでしょう。もちろん、あくまで可能性があるだけで、どれほどの現実味があるのかを定量的に表すことはできません。しかし、中国の習近平国家主席は昨年10月の演説で「祖国の完全統一を必ず実現する」と宣言していますし、ロシアがウクライナ東部の国境付近に10万人超規模の部隊を動員しているとウクライナ当局は発表しました。
現代においては昔のようにミサイルを撃ち込んだり、地上戦をするような戦争は早々起こらないと考える人も多いかもしれませんが、2014年のソチ五輪後にロシアがクリミアを併合したり、中国が香港の民主化運動を弾圧するなど、中国・ロシア両国の強硬的な動きは近年でも確認されています。
両国を発端とする地政学リスクの高まりは、半導体価格の上昇や、原油や天然ガスなどのエネルギー価格の上昇にも繋がりかねないため、個別企業の生産減少やコスト増を生じさせ、利益率を悪化を通じて株価の下落などにも波及します。個人投資家にとっても無視していいリスクシナリオではないのです。