はじめに

グリーンフレーションの可能性

原油価格の上昇が一服し、人手も戻り、資源の供給が通常時に戻れば、このインフレも次第に落ち着いていくと考えられるわけですが、実は前述した流れとは全く別の角度からインフレ要因が発生するリスクも視野に入れておきましょう。ここ数年で「脱炭素」や「SDGs」という単語を耳にする機会が急激に増えたかと思いますが、脱炭素の動きが行き過ぎることで、物価上昇圧力がさらに高まる可能性があります。

「脱炭素なんだからエネルギー価格は下がるんじゃないの?」と思った人もいるかもしれません。しかし、いくら脱炭素を声高に叫んだところで、目の前のエネルギー需要は依然として存在し、原油や化石燃料を一切使わないことはできません。従来であれば原油価格が高くなりすぎれば、産油国と協議して増産してもらうなどもできましたが、産油国の立場からすれば、今後はこれまでのようにすんなりとは増産には応じなくなるでしょう。

また、電気自動車の生産台数が増えるにつれて、製造の際に用いられるレアメタルなどへの需要が高まることで生産コストが高くなり、最終製品の値段も高くなると考えられます。電気自動車の普及の為にガソリン車への販売規制や増税がなされれば、結果的に消費者が自動車へ払う購入費用も高まるかもしれません。このような脱炭素を背景としたインフレをグリーンフレーションと呼ぶこともあります。

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