はじめに

ラーメン店開業・経営の裏側を伝えるシリーズ「超人気店の店主が語るラーメン店開業・経営の裏側」。ラーメン界の風雲児「MENSHOグループ」の代表・庄野智治さんへのインタビューもいよいよ最終回。

その1:開業時の落とし穴」「その2:儲かるトッピング・サイドメニューとは」「その3:店の広告・宣伝手法」に続き、最終回では、2016年に長年の夢であったサンフランシスコ出店を果たした庄野さんだからこそ語れる「アメリカのラーメン市場」について、実際に体験したことを元に語っていただきました!


日・米ラーメン市場の大きな違いとは?

−−日本とアメリカのラーメン、経済的な観点から一番の違いは何ですか?

庄野: 日・米では、ラーメン1杯に支払う値段の価値観が大きく異なります。

日本でラーメンといえば「手軽に・早く・安く食べられる」イメージが根付いているので、どんなに原価が高くても“1杯あたり1,000円程度”が暗黙の上限額となっているのが現状です。

しかし、アメリカでは、ラーメンは「レストランのような場所で、友人や恋人と楽しむお洒落な食べ物」として認知されているためか、たとえ“原価が高くなってしまっても適正な価格(1杯あたり18ドル=2,000円程度となっても)”で提供することが可能です。

価格に暗黙の上限額がない分、材料などに惜しみなくこだわれる点が、ラーメンの作り手として非常に魅力的だと思っています。やはり、できるだけ現地のおいしい食材を使用してラーメンを創りたい!という思いがありますので。

米ラーメン市場の意外なメリット・デメリット

−−他に、違いを感じたことは?

庄野: 飲食店の求人に対して、日本よりも応募が集まりやすかったですね。

現地では「飲食店のホールスタッフはチップをもらえる=儲かる」というイメージがあるので、無理に時給を上げたり、必要以上に求人広告などにお金を費やさなくても従業員が集まりやすいと言えます。

−−反対に、お金のかかるものはありますか?

庄野: 交通費、でしょうか(笑)。

日本と同等の味、サービスを維持するために、日本から各店舗の従業員を派遣し、現地の従業員を教育していく必要があります。

そのために、どうしてもビザの申請や航空チケット代にコストがかかってしまいますが、まがいものでない「本物の日本のラーメン」を届けるためにも、そこの費用は節約すべきではないと思っています。

夢が詰まった日本のラーメン

−−最後に、今後の目標を聞かせてください。

庄野: 国内では、さまざまな地域の特産品を使い、ラーメンで地域の活性化にも貢献できればと思っています。アメリカにおいては、ラーメンの魅力をもっといろいろな方々に広め、いずれは「寿司」を超える日本食にしたいですね。

−−ありがとうございました!


ラーメン屋を開業してみたいという方への基礎知識、参考になりましたでしょうか。記事では人気ラーメン店の経営者という側面から話を伺いましたが、本来は、日々創作ラーメンの開発に勤しむ「ラーメン・クリエイター」でもある庄野さん。

皆さんも、その感動と驚きのラーメンを、ぜひ一度召し上がってみてはいかがでしょう。

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