はじめに
今後の見通し、市場の注目点は?
今回のロシアによるウクライナ侵攻、欧米の経済制裁などで懸念されるのがエネルギー価格や農産物等のコモディティ価格の上昇です。しかし、ロシアの軍事侵攻が開始された24日のニューヨーク・マーカンタイル取引所(NYMEX)で原油先物は3日続伸しましたが、WTIは前日比0.71ドル(0.8%)高の1バレル92.81ドルで取引を終えました。朝の時間外取引で一時、1バレル100.54ドルと、2014年7月以来となる100ドル台に乗せた後は伸び悩みました。商品市況でも株式相場同様に、いったんはSell on Fact - 事実で売りとなったのでしょう。
ロシアへの経済制裁強化を受け、週明け28日の原油相場は大幅高で始まりました。国際指標であるロンドン市場の北海ブレント先物は、日本時間朝の取引開始直後に1バレル105ドル台まで上昇しました。WTI(ウエスト・テキサス・インターミディエート)原油先物も一時7ドル強上げて1バレル99ドル台に乗せる場面がありました。しかし、先週、ロシアが攻撃を開始した直後につけた高値は抜いていません。これも前述の通り、最悪の状況に達したことを織り込んだからでしょう。先物相場が織り込めるのはここまでと思われます。今後の動きは、さらに時間が経過してから明らかになるロシア産原油の供給状況次第だと思われます。
よってロシア・ウクライナ問題も相場の材料となるのはそろそろ終わりで、今後は再びFRB(連邦準備理事会)の金融政策に目が向くでしょう。FRBの利上げに対する市場の織り込みもかなり修正されて、一時出ていた3月に0.50%の利上げ観測は後退し、FF金利先物が織り込む利上げ幅は0.25%、年内6回で年末に1.5%という穏当なものに戻っています。実際に3月に利上げが始まれば、こちらも材料出尽くし、Buy on rumor, sell on fact(噂で買って、事実で売る)の逆のパターンとなって、株式市場は堅調さを取り戻すと思われます。