はじめに
突然ですが、あなたは今、頭の中に“よはく”は残っていますか? いっぱいいっぱいで押しつぶされそうになってはいませんか?
私たちの日常は、時代の進化とともに忙しくなってきました。仕事と家庭の両方に気を配り、会社では忙しいのに「残業はするな!」と言われ、一方で「もっとスピードを!」と加速することを要求されます。一息つこうと思ったら、スマホから湧き出てくる情報に、頭の中が支配されるような感覚に陥ることも……。
放っておくと、落ち着いて自分自身のことについて考えを巡らせることができなくなったり、本当に大切なことに集中できなくなったりするほど、ノイズに振り回されてしまう厳しい時代になりました。
私たちから余裕を奪うものは一体何なのでしょうか。20年以上にわたり、「思考の整理家®」という肩書でコンサルティングや講演を行ってきた鈴木進介氏にその正体を伺いました。
※本稿は『本当に大切なことに集中するための 頭の“よはく”のつくり方』(鈴木進介 著)を一部抜粋・再編集しています。
意識しないと余裕がどんどん奪われる3つの原因
人は、なぜ余裕をなくしてしまうのでしょうか? ここでは余裕がなくなってしまう原因についてお話ししたいと思います。大きく分けると3つの原因があります。私はこれらのことを、頭の中から余裕を奪う「3毒トリオ」と呼んでいます。
余裕を奪う「3毒トリオ」
1.依存症:やめられない~ 止まらない~♪
2.散漫癖:あれもいいね! これもいいね!
3.強迫観念:○○すべき、○○しなければならない
あなたはどれか自分に当てはまるものがありますか?
ちなみに、私の基本的特性はこの3つすべてに当てはまっていて、3毒トリオにドップリと頭の中を支配されています。ただ、当てはまっているからダメというわけではありません。誰もが少なからず当てはまるものだからです。大切なのは自覚しておくことと、意識して改善していくことです。ここでは余裕をなくしてしまう原因について細かく見ていきましょう。
“スマホ脳”と、どう向き合うか?
まずは、「1.依存症」です。
依存症と聞くと、何を思い浮かべますか? アルコール? タバコ? この2つは特に身体に直接影響するものですね。では、頭の中に影響をおよぼすものにはどのようなものがあるでしょうか? 真っ先に、「スマホ」と思いついたかもしれません。スマホは、手のひらサイズでいつでもどこでも何にでも使えるので本当に便利な道具です。ただ、便利過ぎるからこそ、つい依存してしまうリスクがあります。
以前、美容院に髪を切りに行った際、いつもは持っているはずのスマホを持たずに入店してしまいました。普段は髪を切る間、スマホでSNSをチェックしたり仕事の情報を確認するのですが、当然それができません。スマホがないときに自分がいかにソワソワと落ち着きがなくなり不安になることか。スマホ依存である自分の状態を思い知りました。
仕事、SNS・ニュースのチェック、動画や音楽の視聴、ゲーム、LINEなど、機能的なことから楽しめることまですべてが手のひらサイズに収まっているわけですから、強烈な誘惑に毎回襲われますよね。どうりで私のある1日のスマホ状態を確認すると下の図のようになってしまうわけです(泣)
スマホという端末の問題だけでなく、手軽に閲覧できるSNSも依存症に陥るリスクがあります。「友達は最近どんな投稿をしているだろうか? 自分の投稿に“いいね”はついているだろうか?」、仕事に集中すべき場面でも頭の中にはノイズが入り込みそうになります。また、一度使いだすと次から次へと興味をそそる情報が流れ、魅力的な広告が視界に飛び込んできます。デジタル社会では、特にスマホやSNSとの付き合い方に気をつけなければ、無意識のうちに頭の中のよはくが埋め尽くされてしまいます。