はじめに

「人を活かすマニュアル」3つのポイント

改めて、「人を活かすマニュアル」へのシフトにあたってのポイントを整理してみます。

1. 自社の方向性を全員が理解できる形でまとめる
2. 店全体として「やってはいけないこと」「やるべきこと」を明確にする

1の補足として、「安全」「正確」「スピーディー」「感じよく」「作業効率」の基本的な考え方と具体例を示しておくとわかりやすくなります。店員から実際に聞くと、現状の現場の様子もみえてきます。なお、マニュアルは作成した時点で満足していては意味がありません。そこで、次のポイントにも留意します。

3. 完成したマニュアルをベースに、現場で日々起こる問題を解決していく

3に関しては、例えば、「昨日、お客様に商品の提供間違いがありました。これを改善するためにはどうしたらよいでしょう?」とみんなで考えるということです。これは、「商品は間違えないように提供しましょう」と当たり前のことをマニュアルに書いたところで、改善ポイントを見出せないからです。

「状況に合わせて改善する」「問題が起きるかもしれないと予測して未然の対策を考える」「もっとよくできることはないか探す」、この視点で、柔軟にマニュアルを改善していくことも必要です。年に一度は、内容を改善する機会を持ちましょう。


筒木幸枝(つつき ゆきえ)
株式会社モニターユ代表取締役。1954年生まれ。飲食店経営を経て、1982年から接客インストラクターとして活動を開始。指導する企業の規模は東証一部上場企業から中小企業まで幅広く、また、飲食店などのチェーン店や大手食品メーカーの販売・接客スタッフの育成から、介護・福祉施設といったエッセンシャルワーカーの指導まで、多種多様な業種の研修を実施。「時代や環境の変化でお客様も変わる」「ベテラン=指導力が高いとはいえない」と、常識にとらわれず、自身の経験も過信しない、常に時代の変化を読む接客術を考案・提供するスタイルに定評がある。30年間顧問契約を継続しているクライアントがあるなど、業界内でも稀有な存在。著書に『飲食店接客サービス読本―応対話法のすべて』(ビジネス社)などがある。

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著者 筒木幸枝

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30年以上、第一線で活躍するベテラン講師が、特別なことをしていないのに、なぜか繁盛し続ける「普通だけどお客様にリピートされる接客」にフォーカスし、1.生産性を下げず、2.売上やリピート率を上げることにつながる、3.どの業種でも活用できる接客を解説。

(この記事は日本実業出版社からの転載です)

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