はじめに
全国で9割以上の小豆の収穫量を誇る北海道。昨年は台風の影響で収穫量が半減し、大きく落ち込みました。一方、今年の小豆の生育は平年並で、回復傾向にあるようです。
そんななか小豆をふんだんに使ったようかんが、意外な用途に使われて、人気を呼んでいます。
売上好調『スポーツようかん』
スポーツショップに並ぶようかんを目にしたことはありますか。
2009年に発売され、スポーツショップやネット販売を中心に展開されている『スポーツようかん』が人気です。片手で食べられるスティック状のようかんです。
どんな人が購入しているのでしょうか。発売元の井村屋・経営戦略課の澤さんに話を聞きました。
「名前の通りスポーツをする方へ向けた商品です。体内でゆっくり吸収される『持続性エネルギー糖質パラチノース』を使用していますので、マラソンやトライアスロン、ゴルフなど長時間スポーツをする方にご好評いただき、購入いただいております」
2016年度の売上げ実績は、対前年比125%を記録して好調だそうです。
スポーツシーンにようかん、なぜ開発?
ほっと一息つきたいときに、お茶と一緒にいただくようかん。
一見、“スポーツ”と“ようかん”は、かけ離れたもののようにも感じますが、そもそも、なぜスポーツようかんを開発したのでしょうか。澤さんは次のように話します。
「ようかんの新しい市場開拓のため、シーンに合わせた開発を行うなかで、アウトドアシーンでの活用を検討しました。
登山やハイキングなどでは、休憩時のお茶菓子や糖質補給に“糖質がエネルギー補給の点で優れている”ことから、ようかんがよく用いられています。
体を動かすうえで、なくてはならない栄養素である糖質。その要素を最大限に活かしつつ、スポーツで失われる塩分補給も可能なように、ミネラル豊富な塩を配合することで、スポーツをする人のためのようかんとして発売しました」
スポーツ・アウトドアシーンに適した仕様に改良
スポーツようかんには、スポーツやアウトドアシーンに合うように改良した点が2つあると、澤さんは話します。
「1つ目は小容量(約40g)で、手軽に塩分(0.14g)とカロリーが補給できる点にこだわりました。
2つ目は、スポーツに適した糖質を選定した点です。ゆっくり体内に吸収されていく持続性エネルギー糖質パラチノースを採用し、さらに即効性糖質であるショ糖を配合することで、“持続性”と“即効性”の2つの糖質を使用したようかんです」
消費者からは『また食べたい』『パワーが出た』のほかに、『どこに売っていますか?』といった声も届いているそう。
家計調査によると、昨年度の一世帯あたりのようかんへの支出は5年前に比べ約113%増え、751円になりました。スポーツようかんが、ようかん消費を後押ししているのは間違いなさそうです。
(文:編集部 土屋舞)