はじめに
改正内容、影響のある方は?
これを踏まえ、国税庁より「所得税基本通達の制定について」の一部改正(法令解釈通達)も、上記の解答内容に沿って正式に改正されました。下記は、その改正内容を詳しく解説した国税庁の資料です。
画像:国税庁「雑所得の範囲の取扱いに関する所得税基本通達の解説」より引用
注記を見ると、下記2点については、個別に内容を見て判断することにするよ、という見解みたいです。
・副業収入が極端に少なかったら「雑所得」
・副業で儲けてやろうという感じじゃなかったら「雑所得」
つまり、300万円という金額判定はしないけど「副業やってないけど経費をいっぱいあげて、給与の税金を思いっきり節税してやろう!」という悪意のある人だけを取り締まるように変更されたということです。本当に悪い人だけを取り締まって、真面目に頑張っている人は巻き添えにならないように配慮されるように変更され、本当に良かったです。
副業をはじめたばかりで「今年はほとんど準備の費用で消えてしまいました。脱サラしてお金もないのに税金は安くならないなんて……」という方も、事業で出たマイナス分を給料から引くことで節税できて苦労も報われる、というものです。
今回の改正内容を詳しく見て影響のある方は、ズバリ「白色申告で帳簿の保管を怠っている人」です。青色申告の方は「ちゃんと帳簿をつけなければ!」と意識しているので、記帳や帳簿保管の漏れはほとんどないと思います。しかし、白色申告の方は「白色だったら帳簿つけなくて良いんじゃないの?」と間違って理解されている方が多いです。白色申告の方も、青色申告ほどはきっちりしたルールでなくても帳簿をつけて7年間保管しておいてください。
青色申告なら、儲けである「利益 = 所得」の金額を計算するときに、55〜65万円引いてもらえる、白色申告でも10万円を引いてもらえるので、雑所得として取り扱われてしまうとこれらのメリットがまたたく間に飛んで行ってしまい、「なんて……嘆かわしい!」となるので要注意です! なお、青色申告と白色申告について、詳しくは前回の記事を参考にしてください。
8月初めにパブリック・コメントが出たことを受け、開業届を出そうと準備していたのに、「雑所得にされそうだから」と事業主になることを諦めた方もいました。どうぞ、しっかり帳簿をつけ、事業所得の恩恵を受けてください。
今回の「副業300万円問題」を通じて、自分の意見が国に届けられ、その意見が反映され通達や法律などができる、ということに改めて気づいた方も多いのではないでしょうか? 「どうせ自分一人が言っても変わらない」と行動しなかったり、選挙にも行かずに自分の1票を放棄しまったりする方も多い世の中、そんな「あきらめ」こそが、世の中変わらない原因なのかもしれませんね。
自分の手で、世の中を変えられたという実感を味わえると、なんて……喜ばしい! ですよね。もしも、「こうなったら良いのに」と思うことがあれば、どんどん発信や行動してみてください、何かが動き出すかもしれませんよ!