はじめに
株式分割による影響は?
100万円を超える企業は、冒頭で触れたレーザーテックに加え、100株購入するのに800万円以上必要となるファーストリテイリング(9983)を始め、500万円以上必要なSMC(6273)やキーエンス(6861)、そのほか東京エレク(8035)、エスケー化研(4628)、ディスコ(6146)、シマノ(7309)、オービック(4684)、SHIFT(3697)など39社です。東証がこのような企業に対し、株式分割を要請した事で今後、企業側も対応を検討する可能性もありそうです。
11月18日(金)にファーストリテイリングは開示情報で「投資単位は高い水準が続いており、投資単位の引き下げについては、今後の株式市場の動向、証券市場の要請、当社株式の株価や流動性を総合的に勘案しながら、多面的な視点から検討してまいります」と配信しました。ちなみに2年前の2020年11月時点の開示では「投資単位の引き下げは検討しておりません」としていたので、今後は株式分割などで売買単位の引き下げを行う可能性もあるように感じます。
株式分割とは、1株をいくつかに分割し、発行済みの株式数を増やす事です。例えば、1株を2株に分割すると、各株主の持ち株数は自動的に2倍になります。
分割をする理由としては、分割後は売買購入金額が下がることで、購入しやすくなる側面があります。昨年1:5の株式分割を実施したトヨタ自動車(7203)は株価が5分の1に低下した事で、2022年3月末時点の株主数が81万3254人となり、1年間で30万人強(6割)増えました。また、今年10月には任天堂(7974)が1:10の株式分割を実施し、それまで600万円必要だった売買代金が、現在では60万以下で購入できます。
そうしたメリットがある反面、デメリットして株主数の増加にともない、株主対応のコストが増える恐れがあります。突然株主優待などを廃止することなども考えられます。また株式分割を発表した企業の株価が上昇する事も多々ありますが、企業価値が向上する訳でも低下する訳でもない事は忘れてはいけません。
米国市場はすべての上場株式・ETFを1株単位で購入することができるので、少ない資金で投資を始めることが可能です。日本は100株単位での売買が基本となるため、米国株と比較して購入金額が高くなります。
今後、日本の株式市場への参加者を集うには売買単位の見直しは必要であり、その点をクリアすることが一つの課題だと感じています。