はじめに

死亡一時金請求の手続き方法

では、死亡一時金請求の手続きについてみていきましょう。例えば、夫がiDeCo加入中に亡くなり、妻が手続きをすることになったとします。まず妻は、iDeCoの金融機関に死亡届を提出します。その際、死亡診断書の写しなどの書類の添付が求められます。

金融機関は届け出を受理すると、亡くなった方の資産の清算を行います。例えば、投資信託で運用していた場合はそれらを売却し、現金化し手数料を差し引いて、受取人の方の口座へ支払います。届け出を出してから支払いまでは、通常2カ月くらいのようですが、書類の不備などがあれば、長引きそうです。なお、精算の手続きの日時は指定できません。

ちなみに、加入者がiDeCoを老齢給付として分割で受け取っていた途中で亡くなった場合は、残金が一時金で遺族に支払われます。その場合も、遺族が加入者死亡の届け出を金融機関に提出します。

死亡一時金を受け取った妻は、それを相続財産として手続きを行います。この際、相続税法上死亡一時金は「死亡退職金」とみなされるので、500万円×法定相続人の数で算出した金額までは非課税となります。例えば、妻と子どもが2人となれば、法定相続人は3名ですから、死亡一時金が1,500万円までは非課税で受け取れるという訳です。この計算は、相続発生から3年以内に支給が確定した場合です。

例えば、夫がiDeCoに加入していることを妻が知らず、死後3年以上が経過して何かの拍子でiDeCoの資産があることを知ったとします。その場合、夫死後もiDeCoの運用は続いていますので、金融機関は妻からの届け出を受領したタイミングで清算を行います。死亡一時金を受領した妻は、やはり税金の手続きを行います。死亡から3年が経過すると、妻の一時所得として税金の計算が行われます。

また、死亡から5年が経過しても死亡一時金の請求がなければ、該当する遺族はいないとみなし、死亡した方の相続財産とみなされます。その場合は通常の相続財産として相続人が請求しますが、その後もだれも請求しなければ、法務局に供託され、いずれ国に回収されます。

実は死亡一時金の対象となるお金には、自動移換された資金も含まれるのですが、そもそも加入者も手続きを忘れていたお金ですから、家族がそのことを知って請求するのは難しいでしょう。

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