はじめに

老後の資産形成というと、投資信託や株式を購入し、その値上がり益を狙うというイメージが先に立ちますが、そうではなく、キャッシュフローを増やすという視点を持つと、別の資産形成ができるかも知れません。


投機はしない

老後の資産形成を考える場合、誰もが「できるだけ早くお金を増やしたい」と考えるはずです。FIREなどはその典型例かも知れません。
では、お金を増やすためにはどうすれば良いのでしょうか。

これは残念ながら、何の魔法もありません。FXや暗号資産、あるいは株式の短期トレードで億円単位の資産を築いた人の話が注目されますが、あれは例外中の例外です。基本的にFXや暗号資産の売買で儲けるのは「投資」というよりも「投機」ですし、対象が株式でもデイトレーダー的な短期売買を繰り返すような取引は、やはり投機になります。

投機とはゼロサムゲームと言われるように、儲けた人の裏側に必ず損をする人がいます。単純化して言えば、100万円を儲けた人の裏側に、100万円の損を被った人がいます。

このような投機的取引では、自分自身が常に勝者になれるとは限りません。100万円儲かることがある反面、100万円を損することもあるのです。

値上がり益よりもキャッシュフローを増やす

「資産を増やす」となると、多くの人は働いて稼いだお金の中から一部を貯蓄に回し、ある程度の資金量になった時点で投資信託や株式などの価格変動商品に投資して、その値上がり益で資産を増やす、と考えているのではないでしょうか。

確かにそれが一番の近道です。しかし、大きな問題もあります。それは、投資信託なら基準価額、株式なら株価の値動きに一喜一憂させられることです。株価が大きく値上がりすればハッピーですが、大きく下落すると仕事が手に付かなくなるくらい落ち込んでしまう。

このような状況を10年も20年も続けなければならないのかなどと考えた途端、心が折れて、資産運用そのものを諦めてしまう人も少なくないと思います。

そこで考え方を少し変えてみてはどうでしょうか。元本の値上がり益を狙うのではなく、定期的に得られるキャッシュフローをいかにして増やすか、という点に注目するのです。

キャッシュフローとは、定期的に得られる投資信託の分配金、株式の配当金、預貯金の利息、債券の利子を指しています。預貯金の利息は現状、あまりの超低金利でほとんどゼロに近い状態なので、ここでは一切考えません。

ある程度、高い利回りを得るとしたら、投資信託やJ-REITの分配金、株式の配当金が妥当でしょう。

たとえば株式は、株価の値動きは比較的大きいものの、配当金は安定しています。配当金というキャッシュフローを稼ぐ観点で投資すると、値上がり益を狙う投資に比べて精神的にも安定し、長期的に投資を続けられる可能性が高まります。

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