はじめに

価格変動と利回りの関係

投資信託やJ-REIT、株式は値動きのある価格変動商品です。価格と利回りの関係は、仮にキャッシュフローが一定だとすると、価格が上昇した時に利回りは低下し、価格が下落した時に利回りは上昇します。

つまりキャッシュフローを増やす戦略を軸にして資産形成を行う場合、価格がどんどん上がり続けるよりも、むしろ適度にマーケットが下落に見舞われた方が、最終的な利回りが向上するという利点があります。

たとえば株式で考えてみましょう。株価1000円の銘柄の配当金が50円だとすると、配当利回りは5%です。その後、株価が700円に値下がりしても配当金が同じ50円であれば、配当利回りは7.14%まで上昇します。そして、このように株価が下落した時に追加資金を投じて同一株式を購入すれば、ポートフォリオの利回りは徐々に改善していきます。

これを繰り返して累積した保有株数が1万株になり、1株50円の配当金が得られたら、それだけで年間50万円の配当金を得ることができます。それに加えて株式の場合、長期的に株価が上昇すれば、保有している株式の資産価値も上がっていきます。

そのうえ配当金は、業績が極端に悪化すれば減配もあり得ますが、逆に投資している企業が成長すれば、50円だった配当金が60円、70円というように増えていくことも考えられます。

永続性のある資産を選ぶ

キャッシュフローを増やす戦略とは、将来的に成長を続け、キャッシュフローが増える可能性が高いものを投資対象にして、その持ち分を徐々に増やしていくことです。

最初は100株しか保有できなくても、たとえばボーナスで資金的にゆとりが出来た時などにそれをプールしておき、狙っている銘柄の株価が下がった時に追加投資します。それを繰り返すことで配当利回りが改善され、かつ株数が増えることによって、将来、得られるキャッシュフローを分厚くできるのです。

この戦略で、高齢になった時、毎年200万円、300万円という配当金が定期的に入ってきたら、公的年金の額が少なかったとしても、それなりの生活を維持できます。

もちろん、これは今の物価を想定した話であり、将来、インフレによって物価がどんどん上がるような状況になったら、毎年200万円、300万円程度の配当金では満足できる生活ができないという意見もあるでしょう。

でも、株価は基本的にインフレに対して親和性の強い金融商品なので、仮にインフレが進んだとしても、株価の値上がりによってインフレリスクをヘッジできるとも考えられます。

この戦略は長期的に少しずつ資産を積み上げていく必要があるので、投資先は出来るだけ永続性のあるものを選ぶ必要があります。その点で言うと、投資信託には常に繰上償還リスクがあり、かつ日本の投資信託は設定後、比較的短期のうちに償還されるケースが多いので、同一ファンドを長期的に積み上げていくという戦略には不向きの面もあります。

銘柄選びというハードルはあるものの、株式やJ-REITでキャッシュフローを増やす積立投資を検討してみてはいかがでしょうか。

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