はじめに
その他のリスクと日本への影響
2位に挙げられたのは、「『絶対的権力者』習近平」。その理由として「中国の習近平国家主席(共産党総書記)は 2022年10月の第20回党大会で、毛沢東以来の比類なき存在となった。習近平の中国では、恣意的な決定、政策の不安定さ、不確実性の増大が常態化することになる。国家資本主義の独裁国家が世界経済でこれほど大きな位置を占めるという前例のない現実を考えると、このグローバルで巨大な問題は過小評価されている」としています。
バイデン米政権は、国家安全保障戦略で戦略的競争相手としてロシアと中国を挙げていますが、日本への影響についても言及しています。ユーラシア・グループがまとめた「TOP RISK 2023 日本への影響」では、「日本はその歴史を通じて、新たなリスクに立ち向かうことのできる強靱な国家であることを証明してきた」と前置きした上で、「日本の最も緊密な同盟国である米国を除けば、中国ほど日本の経済、政治、安全保障に大きな影響力をもつ国はない」「東岸田はハト派という評判で首相になったが タカ派として統治している。主に習近平の攻撃的なスタイルに対応するためだ。日本は最近、防衛予算の倍増を決定し、今後 5 年間で約3,150 億ドルを追加する。(中略)その原因は習近平だ」と分析しています。気になる方は、ぜひ本文を読んでみてください。
そして3位は「大混乱生成兵器」で、人工知能(AI)のリスクについても指摘。4位では「インフレショック」が世界同時不況の主要因となり、金融ストレスを増大させ、社会的不満と政情不安をあちこちでかき立てるだろう、と言及しています。
5位は欧米と新たな対立を繰り広げる危険のある「追い詰められるイラン」、6位は「地政学的、経済的、生産的要因が重なり特に後半はかなりタイトな市況になる」と分析する「エネルギー危機」、7位は「世界的発展の急停止」、8位は「分断国家アメリカ」、リスク9位は「TikTokなZ世代」、10位は「逼迫する水問題」が挙げられています。
【2023年10大リスク】
1位:ならず者国家ロシア
2位:「絶対的権力者」習近平
3位:大混乱生成兵器
4位:インフレショック
5位:追い詰められるイラン
6位:エネルギー危機
7位:世界的発展の急停止
8位:分断国家アメリカ
9位:TikTokなZ世代
10位:逼迫する水問題
ユーラシア・グループによる世界のリスクは毎年公表されておりますので、この世界で何がリスクなのか知っておくためにも、ぜひご自身でも原文を読んでいただいて、リスクに備えてみてください。日本語訳もされているので読みやすいですよ。ちなみに、ユーラシア・グループが「2022年の世界10大リスク」で1位に挙げたのは、「ゼロコロナ政策の失敗」。新型コロナウイルスの感染を封じ込めようとする、中国政府の方針が失敗することなどを予測しており、実際に2022年12月には中国政府は方針を転換し、感染対策が緩和されました。
皆様の経済の知識や投資の参考になれば幸いです。