はじめに

今こそ勤め先に働きかけを

就業規則や労働契約の変更がされないまま新型コロナウイルス感染症の分類が5類に引き下げされると、在宅勤務という概念がなくなってしまう可能性もあります。このまま在宅勤務を続けたいと考える場合は、早急に企業に働きかけるタイミングといえるでしょう。企業側が急きょ対応した在宅勤務であれば、規程も慣習もまだまだ試験的であるなど流動的な可能性もありますので、必ずしも無駄な抵抗だとは思いません。

企業側も、労働者を使用する以上、中小零細企業であることも言い訳になりませんし、厚生労働省でも、「テレワークモデル就業規則(在宅勤務規程)」などガイドラインになるものをいくつも公開していますからしっかり対応していかなくてはなりません。

今後は、在宅勤務から出社への変更に関する係争が起こってもおかしくありません。在宅勤務も3年に及んでいれば、実態としては労働契約を在宅勤務に変更したものと見ることもできるかもしれません。通勤を求められることが、労働条件の不利益変更だと考えられることができれば、企業は法律違反になる可能性もあるのです。

在宅勤務に正式変更する際の注意点

最後に、前述した内容に加えて、労働契約を変更する際の注意点をお伝えします。もちろん、本人や家族が納得して受け入れるものであれば良いのですが、契約の変更というのは、後で「こんなはずじゃなかった!」という後悔と背中合わせです。

・業務委託契約・請負契約などに変更されていないか。
 ※雇用契約ではなく上記のような契約になることは、フリーランス、個人事業主への変更であり自営業者になることです。

・退職金や昇給への影響はないか。
 ※契約変更が再雇用のような扱いになれば、勤続年数に影響することにより退職金や昇給への影響が考えられます。

・費用の負担に納得感を持てるか。
 ※会社の備品やネットワークなどの環境を使えなくなるため、自分のものを使用したり購入したりするものが発生する可能性があります。

・出社要請の可能性に対する納得感を持てるか。
 ※定期的、臨時的な出社要請があり得ます。

・契約の期間
 ※それまでは正社員で期間の定め「なし」であったものが、契約の再締結のような扱いで有期雇用になっていないか。

契約の変更は、自分にとって都合の良いことばかりではないかもしれません。新しい契約の締結と考え、既得権のキープに対してのリスクはあると考えましょう。しかし、そもそも既得権を把握していない会社員は多いので、元の労働契約との比較、就業規則の確認も併せて行ってください。

人生にとって働く時間は非常に長く重要な決定です。後悔のないよう慎重に進めていきましょう。

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