はじめに

新指数「JPXプライム150指数」とは

ここからは、冒頭に触れた新たな指数「JPXプライム150指数」についてお伝えします。

JPXプライム150指数は、「価値創造が推定される我が国日本を代表する企業」で構成される指数というのがコンセプトです。以前、東証によるPBR1倍割れ企業に対しての勧告や取り組みについてお伝えしましたが、東証プライム市場でPBR1倍割れの上場企業は約半数ある状況のなかで、東証プライム市場に上場する時価総額上位500銘柄のなかから、資本収益性と市場評価の2つの条件で75銘柄ずつ選定された銘柄がJPXプライム150指数に組み込まれているとのことです。

選定の際、上場維持基準を満たしていなかったり、整理銘柄や特設注意市場銘柄は除外されているようです。スクリーニングの条件について少し詳しく掘り下げると、資本収益性については「エクイティ・スプレッド」、市場評価については「PBR(株価純資産倍率)」を指標としてそれぞれ採用しているとのことです。

エクイティ・スプレッドとは、どれだけ効率的なビジネスができているかを測る指標である株主資本利益率(ROE)と、株主資本コストを引いた差で表されるもので、ROE > 株主資本コストの時、つまりエクイティ・スプレッドがの正の値のときに株主価値がある、といえます。JPXプライム150指数では当期と一期前の推定エクイティ・スプレッドが正の値かつROEが8%超の銘柄のなかで、上位75銘柄が選定されます。

PBRは、「株価 ÷ 1株あたり純資産」で算出されます。この比率は、株価が企業の実態に対してどれだけの割合で評価されているかを示す指標となります。PBRが1より小さい場合、株価が企業の純資産価値に対して割安であることを意味します。JPXプライム150指数では、当期と一期前のPBRの平均値がどちらも1倍を超える銘柄で、エクイティ・スプレッド基準で選ばれた銘柄以外の銘柄の上場時価総額上位75銘柄を選定します。

つまり、JPXプライム150指数には東証が考える日本企業の価値創造を体現している優良銘柄が組み入れられている、とも言えるのではないでしょうか。では実際にJPXプライム150指数の採用銘柄を見てみますと、上位10銘柄は以下の銘柄です。

  • ソニー(6758)
  • キーエンス(6861)、
  • NTT(9432)
  • 第一三共(4568)
  • 武田薬品工業(4502)
  • 日立製作所(6501)
  • 任天堂(7974)
  • 東京エレクトロン(8035)
  • KDDI(9433)
  • HOYA(7741)

TOPIXの組み入れ1位銘柄であるトヨタ自動車(7203)は含まれていません。また、パナソニックHD(6752)やソフトバンクG(9984)、三井住友フィナンシャルG(8316)などのメガバンクも含まれていません。なお初回の定期入替は、2024年8月に行われる予定です。

最後にJPXプライム150指数を金融商品の組成・売出しや第三者提供などで利用する場合、JPX総研とのライセンス契約の締結が必要となるのですが、そのライセンス申込受付期間が2023年5月26日(金)から2023年6月30日(金)までとなっています。JPXプライム150指数をベンチマークとしたETFや投資信託の誕生も楽しみに待ちたいですね。

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