はじめに

無料の保険加入するべき?

フリーケア・プログラムで案内されている代表的な保険商品はどのような補償内容かみてみましょう。

1.交通事故傷害保険
入院保険金(一時金)30,000円を3年間または5年間保険料無料で受取れる保険。交通事故傷害保険なので、自動車・電車・バスなどの交通乗用具でケガをした場合に一時金を受取れる補償内容です。但し、5日以上入院した場合という条件付きです。

2.がん保険
がん診断一時金30,000円を2年間保険料無料で受取れる保険。悪性新生物のみと限定されているので、上皮内がんは対象外です。過去にがん(上皮内がんを含む)にかかったことがある人は加入できません。また、この保険の責任開始日以前にがんと診断確定した場合は対象外となっています。

いずれの保険も対象の事態になって、30,000円受取れれば保険料は0円なわけですからありがたい話です。ですが、全日本交通安全協会「令和2年における交通事故発生状況」によると、発生件数は309,178件。うち死亡事故は2,784件でわずか0.9%。重症者数は27,774人で発生件数から見ると1割に満たない数値です。9割は軽症といえますから、通院もしくは5日未満の入院で済むのではないでしょうか。そうなると、交通事故傷害保険で補償される条件である「ケガで5日以上の入院」の確率は低く、保険金を受取れる可能性は極めて低いといえます。また、大きな自動車事故でしたら、自動車保険で十分に手当てができるはずです。

がん一時金に関しても、多くのひとが医療保険やがん保険で備えていますから、あえて無料の保険に入る必要はないと思われます。

無料保険の気になるポイント

そうはいっても、無料だから、加入しておけば万一の時、ただで保険金がもらえる。加入しない手はないのでは?という気持ちもわかります。

当たり前のことですが、保険金は請求しないと保険会社が勝手に支払うことはありません。新聞で報道されるような大きな事故が起こったとしても、保険金請求は必要になります。加入は簡単ですが、簡単で保険料も支払わない保険をいざ事故があった時、思い出すことができるでしょうか?

一般的に毎月保険料を支払っている医療保険や自動車保険は、補償の内容を詳しく把握していないまでも、保険に入っている自覚はあるはずです。万一何か起こった時は、自分の加入している保険で保険金は支払われるのか?を真っ先に考えるでしょう。それは保険料を毎月大事な収入から払っているからです。また、保険会社から契約確認の案内が年に一度は届きます。無料で補償してくれる保険では、ここまでの認識が生まれず、せっかく加入しても、保険金の請求を忘れてもらわずじまいになる可能性が高いといえます。

この無料プラン案内には、少しの追加で補償内容をアップさせる「追加補償プラン」が並んで案内される場合が多いです。がん一時金30,000円では役に立ちませんが、月3,000円程度の追加保険料で100万円の一時金が追加できるようなプランです。一時金も高額になり心動かされる案内ですが、多くは補償期間が一生涯ではなく10年などの短期間に設定されています。今は保険料が3,000円かもしれませんが、10年後には1.5倍、2倍になってしまうことも考えられます。手続きは簡単ですが、よく考えてから加入しましょう。

無料プランは、無駄な保険ではありません。ただし、加入中の保険があれば照らし合わせ、充分な保険に加入していれば、あえて加入する必要はないでしょう。加入することで、保険会社に個人情報が入り、さらなる勧誘につながる可能性もあります。慎重に検討しましょう。

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