はじめに

もしいま、あなたの手元に10万円があったら、何に使いますか?

欲しかったモノを購入したり、ちょっと贅沢にレストランや旅行に使ったり……すぐに消費することを選ぶと、その10万円は一瞬で無くなってしまいます。しかし、それを投資に回すことを選べば、その価値は時間とともに増えていくかもしれません。

お金は時間とともにその価値が変わっていき、お金が持つ現在の価値と、未来に持つ価値との間には差があります。これを「時間価値の概念」といいます。そして、時間を味方につけて、運用で得た利益を再投資することで、利益が利益を生んでお金が増えていく効果のことを「複利効果」といいます。

これらは投資における最も基本的な、しかし非常に重要な概念です。今回は時間価値の概念と投資の複利効果について深く掘り下げ、それらを理解し活用するための具体的なステップを紹介します。


時間価値の概念

「時は金なり」という格言は、投資の世界で特に真実をついています。

時間価値の概念とは、前述の通り「お金が持つ現在の価値と、未来に持つ価値との間には差がある」ということを指します。具体例として、いま手元にある1万円は、1年後に受け取る1万円よりも価値が高くなるのですが、その理由は2つあります。

(1)機会費用
いま手元にあるお金は、投資に使用することができます。銀行の定期預金や株式、債券などに投資すれば、そのお金は利息や配当という形で増えていきます。それに対して、未来に受け取るお金はその機会を失います。つまり、機会費用という観点から見ると、今手元にあるお金の方が価値が高いと言えます。

(2)インフレ
現在の日本は、物価が高くなっている「インフレ」という状況であることは一般的にも知られています。インフレの状態が続くと、同じ額のお金では以前より少ない商品やサービスを購入することしかできなくなります。したがって、1年後に受け取る1万円は、いま1万円よりも実質的な価値が低い可能性があります。つまり、お金の価値は時間とともに減少してしまうわけです。

この時間価値の概念は、投資決定をする際に非常に重要な役割を果たします。投資のリターンは未来に得られるものであるため、その価値を評価する際には、時間価値を考慮に入れる必要があります。

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